出版社内容情報
高校時代、映画同好会に所属し、いつかみんなで商業映画を撮ることを夢にしていた4人、自主制作映画のコンクールで入賞したり、ミニシアターで期間限定上映をしたりと、夢に向かって順風満帆に進んでいた、はずだった。しかし突然、中心メンバーの一人である石田サキは3人に何も告げず、消えてしまった。チームは解散、3人はそれぞれの道を歩気だし、12年が経った。そんなあるとき、サキの居場所を知らせる、暗号めいた電話が掛かってきて――。30代、女子。いつまでもあの頃のままじゃいられない。
内容説明
高校時代、映画同好会に所属し、いつかみんなで映画を撮って食べていくことを夢にしていた4人。自主制作映画のコンクールで入賞したり、ミニシアターで期間限定上映をしたりと、夢に向かって順風満帆に進んでいた、はずだった。しかし突然、中心メンバーの一人である石田サキは3人に何も告げず、消えてしまった。チームは解散、3人はそれぞれの道を歩き出し、12年が経った。そんなある時、サキの居場所を知らせる、暗号めいた電話が掛かってきて―。
著者等紹介
瀬那和章[セナカズアキ]
1983年兵庫県生まれ。2007年に第14回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『under異界ノスタルジア』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
191
瀬那和幸さん初読み。「私は、これでいいのか?」と感じている30代~40代の人に刺さる内容。映画製作に夢を抱いた4人の女性の現在と回想を織り交ぜて「人生の歩み方」を考えさせてくれる。60代に近い私には幼く感じる部分もあったが、キラキラ輝いて見えた学生時代と社会に出てからの焦燥&挫折感は、頷ける描写で素直に感情移入できた。本当に判っているか男なので自信がないが、この世代の女性心理も凄く上手く表現していると感じた。「私の人生を駄作にしない」為に、今後も前向きに生きたい。今年のMY BEST20入り間違いなし!2021/03/10
🐾Yoko Omoto🐾
159
学生時代、一人の輝ける才能に導かれ盲目的に夢を追いかけた三人の少女たち。だが、挫折・裏切りの果てに夢は突如砕けて終わり、10年以上の月日が流れても尚、その記憶は彼女たちの心の中に棘となって残り続けていた。現実に折り合いをつけ生きる自分への違和感と諦念、プライドや見栄が勝ちさらけ出せなくなった本音、何者にもなれていない焦燥感、そんな等身大のリアルが心にズンと響き、真実が明らかになるラストには思わず目頭が熱くなった。端整な文章は本当に読み心地が良く、言葉選びのセンスも素晴らしい。他作品も是非読んでみたい。2019/06/17
モルク
108
高校で出会い映画制作に青春をかけた4人の女性。高校卒業後も製作をしそして同じ夢を追っていたはずだった。監督サキを中心として全てはサキの才能に依っているものではあったが、ある日サキは制作のためみんなで貯めていた資金と共に忽然と姿を消す。そして30代になった彼女たち。恵まれているようでそれぞれに悩みを抱えていた。もっとラノベ的かと思っていたが、映像が浮かんできて彼女たちのヒリヒリする感情にすんなり移入できる。思っていた以上の秀作。「どんな人生だって編集すれば一本の映画になる」私は大幅に脚色しなきゃあダメだな。2020/06/02
あも
98
特別という呪縛。誰もが自分の人生の主役だ。但し歴史に残る名作と忘却される駄作の主役が等価な訳もない。アイツに夢を託し、アイツに全てを壊された後を生きる何物でもない3人の女達。紛れもない天才だったアイツ=サキを求めながら憎む彼女らの30半ばを過ぎた自分探し。青春の蹉跌を手繰る旅。道中にピシピシと厚い氷が割れるような、乾いた倒木が誰知らず裂けるような音がする。永遠を希ってもいつか必ず魔法は解ける。そして大抵人生はその後の方がずっと長い。在りし日を追憶しても還り道などないのだから、せめて自分は自分を好きでいて。2020/07/30
のんき
98
サキと三人の女性のお話し。高校生の四人が映画でプロになって、食べていけることがみんなの夢。でも夢が叶いません。みんなそれぞれいろいろありました。何年もあと、再会してから、サキから三人への最後の言葉がいいんです。「みんなには続きの人生がある。みんなの人生がどんな映画になるのか、楽しみにしてる。みんなが天国にきたあと、みんなの人生をわたしが編集してあげる。だから素敵なシーンをたくさん撮って」夢は叶わなかったけど、わたしもみんなも、これから素敵なシーンをたくさん撮ろうと思ってくれたよ2020/05/27