出版社内容情報
星が生まれる場所を知っているか――それは星の魔女の指先からだ新入社員の昴が配属された先――それは、渋谷のプラネタリウム施設だった。希望とは違う所で働くことになった昴が「人は何のために星を見るのか」その答えを知るために、故郷を捨てた己と向き合っていく。
美奈川 護[ミナガワ マモル]
著・文・その他
内容説明
施設運営部プラネタリウム事業課天文係―それは、5月上旬に新入社員研修を終えた渡久地昴が告げられた配属先だった。希望とは違う部署で働くことになった昴は、先輩である望月にプラネタリウムのコンソールボックスへ案内された。上映が始まると、指先一つで宇宙を操り、観客に星の解説をする仕事を目の当たりにする。「人は何のために星を見るのでしょうか」その答えを知るために、故郷を捨てた己と向き合っていく。
著者等紹介
美奈川護[ミナガワマモル]
1983年千葉県生まれ。第16回電撃小説大賞“金賞”受賞作『ヴァンダル画廊街の奇跡』(電撃文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
柊文庫本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
211
星を通した優しさ溢れる物語。主人公の昴の成長していく姿は微笑ましく思えました。会社の同僚も星好きばかりで楽しそうな仲間。羨ましいですね。天音とは一緒にちゃんとなってほしかったな。そこが残念。ラストは、脳内で星空が浮かび、序章を思いだし、自然と涙がでました。(涙腺が弱いからね)星が好きな人はもちろん、星に詳しくなくても星空が情景に浮かびあがると思います。「人は、何のために星を見るのか」…自分を見つめ直すために見る。僕はそう思ってます。2019/02/23
おしゃべりメガネ
172
花火師を描いた『ギンカムロ』の美奈川さん作品ですが、本作のテーマは星、星座、プラネタリウムです。最初から最後までとにかくロマンチックな作品で、プラネタリウムに行きたくなるコト必至ですし、リアルに天体観測もやってみたくなります。また作中に宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』も扱われ、そちらも読んでみたくなります。とにかくプラネタリウムに関するコトが詳しく書かれており、大変興味深く読めました。星と星座の元に色んなドラマが展開され、本作の主人公のように何らかの救いがあればいいですね。季節問わず、本当にステキな作品でした。2021/01/17
mocha
70
星の美しい故郷に背を向けた若者。何の因果か配属された勤務地はプラネタリウムだった。四季折々の星座解説の様子を読んでいると、目の前に星空が広がるよう。特に「銀河鉄道の夜」をテーマにした解説は実際にプラネタリウムで見てみたいと思った。美奈川さんのお仕事小説は、仕事への矜持が感じられて胸が熱くなる。2021/09/28
ポチ
60
天の川が横たわっている星空の写真集のような夜空をこの目で見る事が出来たら、感動で言葉なんか出て来ないだろうなぁ。とりあえずプラネタリウムに行って来ようかな。2019/03/16
よっち
50
観光地化された星空が素敵な島を捨てた渡久地昴が就職先で配属されたのはプラネタリウム事業課。複雑な思いを抱える彼が魔法使いのようにプラネタリウムの解説をする望月と出会う物語。観客を魅了する望月の手腕や、変わり者の同僚たちにも触発されて仕事に前向きになってゆく昴と、幼き日に約束を交わした天音の再会。いくつもの人間関係と星空への思いのバランスをうまく取りつつ描かれてゆくエピソードでしたが、様々な出会いから心境も少しずつ変わってゆく中、昴が担当することになった故郷の島での星空解説にはぐっと来るものがありました。 2018/05/26