角川文庫<br> カラヴィンカ

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角川文庫
カラヴィンカ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 432p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041061688
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

売れないギタリストの多聞は、音楽誌に穴埋めコラムを書いて生計を立てている。最近、離婚して、妻のつくった借金を抱えて困窮していた。ある日、彼のもとに仕事の依頼が入る。カリスマ的な人気歌手、実菓子のロングインタビューだった。義理と借金のためやむなく引き受けたものの、二人は幼い頃同じ家で育ち、しかも、多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった。二人はかつて共に住んでいた田舎の家で再会し、インタビューを開始する。実菓子への憎悪と愛情という相反する二つの感情を抱えていた多聞だったが、実菓子は多聞の知らなかった過去を語りはじめた。かつて多聞の家とともに村の二大勢力と言われた実菓子の実家の忌まわしい過去。二人の母が突然姿を消した謎。実菓子が10歳の時に起こした冤罪事件と、二度の結婚の秘密。数々の出来事の裏に隠されていた凄惨な真実が解き明かされたとき、あらたな事件が起こる――。

内容説明

歌詞のない旋律を母音のみで歌う「ヴォカリーズ」の歌手として絶大な人気を誇る実菓子。彼女の自伝のインタビューの相手として選ばれたのは、売れないギタリストの青鹿多聞だった。なぜ実菓子は、多聞を指名したのか―2人は幼い頃同じ家で育ち、さらに実菓子の夫は、多聞の亡兄だったからだ。インタビューが進むにつれ、明らかになっていく、おぞましく哀しい出来事。その真実が解き明かされた時、新たな事件が起きる。

著者等紹介

遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年、大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒業。2009(平成21)年、『月桃夜』で日本ファンタジーノベル大賞の大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

341
慟哭!これ程までに襲い掛かる作品を私は知らない!表現できない、感想を書けない、ただただ慟哭しかない!理不尽極まりない理不尽に翻弄され心を失くし、我を圧し殺して誰かを守らんとする人身御供。切なさの最上級を教えて!相応しい言葉を知らない!あらすじの微塵も述べたくない!ただ無心で読んで欲しい!きっと私の慟哭が伝わるから!『迦陵頻伽(かりょうびんが)』頭が人で身体が鳥の仏教における想像上の生物。声が非常に美しく、仏様の声を形容するそう!美しさを超越した美しき女性の、哀しく切なすぎる決断に私達は慟哭しかない‼️🙇2020/03/13

相田うえお

116
★★★★☆20010 遠田さんは、雪の〜アンチェルの〜蓮の〜あの日の〜(の〜が多い?)と読んできましたが、どれも強烈な余韻を残す読み応えある作品ばかり!本作品も引き込まれた〜!現在と過去を行き来しながら話は進みます(タイムスリップという事じゃないよ。) 狐のゴンの悪さが元となり、男の母親は死んでしまいました。ゴンはお詫びに魚や栗をそっと置き届けていましたが、ある日、男に見つかって母の仇と撃たれてしまいます。男が近づくと栗や魚が置いてある事に気付きました。「お前だったのか〜!」(これ、ごん狐。重要テーマね)2020/01/23

ふじさん

104
丹羽谷村には、藤屋と斧屋の二軒の旧家があり、藤屋の次男の多聞と斧屋の実菓子の関りから始まり、壊れた家族、理不尽な環境、親子の憎悪、隠された親子の真実等が多聞と実菓子を中心に長いスパンで帰結していく。語られる事実は、凄絶な愛憎物語であり、実に巧みなミステリであり、終盤の畳みかけるどんでん返しと伏線がと絡み合い、息つく暇がない。特に、実菓子に関わる秘密は、辛く哀しい内容で、人間の醜さやエゴが凝縮していて心が痛む。隠された悲惨な真実が明らかになる中で、彼女が求めた一言が分かったことで少し救われた気分になった。2022/05/04

ゆみねこ

95
大好きな遠田さんの新刊と喜んで購入して読み始めたら、あれれ?「藤屋」「斧屋」、実菓子・多聞・不動。あ~「鳴いて血を吐く」の改題でした!でも、ストーリーに引き込まれ読みきっての満足感。やはり面白いですね。古い家・跡取り・旧家同士の確執、真実を隠していた理由。遠田さんを未読の皆さんにお薦めします。2018/04/11

のぶ

88
内容はとてもおぞましいが、ストーリーは良く出来ており、面白く読む事ができた。丹羽谷村という場所に「藤屋」と「斧屋」という二つの対立する旧家があった。そこで幼少期を過ごしたヴォカリーズの人気歌手、実菓子が主人公。旧家の間で繰り広げられる愛憎劇で、時代設定は1990年代なのだが、昭和初期の横溝正史の作品を読んでいるような印象を受けた。そこで明らかにされる実菓子をめぐる真実。ヴォカリーズに関してのことはあまりなく、丹羽谷村での出来事が中心だが、人物造詣が秀逸で読む手を止めさせない本だった。2017/11/24

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