出版社内容情報
横溝賞作家が描く、リストラ本格ミステリ!中小電機メーカーの技術者曽根が自宅で謎の感電死を遂げた。中途採用で人事課に配属された平原は社長から命を受けて調査に乗り出す。平原は、曽根が商品開発の過程で「水が燃えた」と呟いていたことを掴むが……。
河合 莞爾[カワイ カンジ]
著・文・その他
内容説明
経営危機に直面した中小電機メーカー「ソルケイア」の社員、曾根の遺体が自宅マンションのテラスで発見された。死因は感電死。曾根は自社の太陽光発電装置の開発中に「水が燃えた」と周囲に漏らしていたという。一方、大手メーカーをリストラされソルケイアに中途入社した平原は、人事課長として「ある3人の社員を退職させてほしい」と花園社長から命を受ける。リストラ候補者となった社員と面談を重ねた平原は、やがて3人と曾根との奇妙な関連性に気づく。果たして曾根の死は単なる事故死なのか、それとも殺人か。そして水は、燃えたのか―。
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県出身。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。2012年『デッドマン』(「DEAD MAN」より改題)で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
140
大手企業をリストラされた社員が再就職先で課せられたのは何とリストラ通告係だった!全く想像つかないタイトルの意味は早々にプロローグで思わせぶりに明かされるが、すっかり置いていかれる…企業小説の作風や理系の説明が多いものの、堅いことなくむしろコミカルさを楽しめる。彼の空回りの奮闘が続く中、徐々に冒頭で語られた『燃える水』に結び付いていく様にニヤリ♪分かりやすく予測させ、ほぼ解決した気にさせといて微妙に気になる事柄を残す河合さんらしさが歯痒くもたまらない!唯一の死の真相に辿り着くきっかけはマニア過ぎるけど(笑)2018/07/24
aquamarine
99
ストーリーはある大手企業をリストラされた平原が、中小企業の人事課長として雇われることから始まります。彼に課せられたのはなんとリストラの打診。大企業にいたときとは比べ物にならないほど彼は頭を使い…。プロローグにより、題名の意味は分かるのですが、それがその後どう関わってくるのか、気になって夢中でページをめくりました。ちょっと科学的物理的な説明が多いのですがなんとなくわかる程度で問題ないです。いままでの河合さんとはちょっと毛色が違い、企業小説に近いのですが、最後の最後まで引っ張られ、とても楽しみました。2018/07/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
99
序盤はリストラの話?とおもいきや中盤以降で燃える水の話になっていきます。リストラの話は嫌な感じですが中盤以降は面白かったです。2018/06/27
あも
88
燃える水。1990年代、水だけを燃料にした車でアメリカ大陸を横断した技術者は暗殺された。石油を中心にした社会秩序に逆らう者は許されないのである。という壮大なオープニングから一転、本編は気弱リーマンがリストラされ、転職した会社では逆にリストラ勧告するポストを与えられ…という地味な話が始まる。企業小説でもありミステリでもあり。昨今、小説のジャンルの境界が非常に曖昧になってきてはいるが、これは特に。どこに重心置いて読むべきか定まらないまま読了。割と面白かったけども。カンチ、なかなか特徴の見えてこない作家である。2018/08/02
papako
78
ちょっと想像の斜め右側?をいく感じ。読み始めは、主人公の平原の設定がピンとこなくて、物語がどこに行くんだ?SFなのか?と思っていたら、作者らしいお話でした。どちらかと言うと『粗忽長屋』の系統でした。社長の社員を想う気持ち、いいなぁ。1億円は無理だろぅけどね。後、平原妻も良かった。うん、全然思っていたのと違っても楽しめた。あんまり勧めないけど。2019/02/12