出版社内容情報
働くママのリアリティあふれる奮闘物語マーケティング会社で働く多香実は、ふたりの子どもを持つお母さん。仕事と子育ての両立に悩みながらも毎日を懸命に生きていた。しかしある出来事をきっかけに、多香実のなかに思わぬ感情が生じていき……。
椰月 美智子[ヤヅキ ミチコ]
著・文・その他
内容説明
39歳の多香実は、5歳の娘と4歳の息子を育てながら、デジタルマーケティング会社の室長として慌ただしい毎日を過ごしていた。仕事と子育ての両立がこんなに大変だとは思っていなかった。ひとつ上の夫・秀介は「仕事が忙しい」と何もしてくれない。不満と怒りが募るなか、息子が夜中に突然けいれんを起こしてしまう。そのときの秀介の言動に多香実は驚愕し、思いも寄らない考えが浮かんでいく―。書き下ろし短編「あいうえおかの夫」収録。
著者等紹介
椰月美智子[ヤズキミチコ]
1970年神奈川県生まれ。2001年『十二歳』で第42回講談社児童文学新人賞を受賞し、02年にデビュー。『しずかな日々』で07年第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞を受賞。17年『明日の食卓』で第3回神奈川本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
498
あまりのリアルさに、身につまされたまま一気読み。共働きで子育てしたことある人なら、共感度120パーだろう。年子で、親に頼れなかったところもウチと一緒。逆に主人公の多香実は、松戸在住だという母親(専業主婦)になぜそこまで頑なに頼らないのか不思議なくらいだったが。彼女の1日のタイムライン、読むだけでこちらまでグッタリ。そして秀介のだらしなさよ。ラストは綺麗にまとめすぎ。実際はこうは行かないと思うな。子育て…終わってホントによかった。もう二度とできない。2019/11/02
ウッディ
276
さすが、知らなかった、すごい、センスある、そうなのね‥男を気分良くさせる魔法の言葉「さしすせそ」。4歳と5歳の子供を育て、管理職として仕事をこなす多香実の毎日は大忙し。家事も子育ても協力的じゃない夫の秀介には、不満たらたらで魔法の言葉をかける気にもならない。妻から見た表題作は、夫のわがままぶりに腹が立ったが、夫から見た「あいうえおかの男」では夫も会社で苦労しながら、妻には言葉にしないが感謝している事が解る。まぁ、それでも夫は妻に頭が上がらない自分を重ねていました。ほろ苦くも面白かったです。 2018/09/13
いつでも母さん
224
39才、共稼ぎ、子供二人、妻の現状がここにありました。慌ただしい日々の暮らし。一体あの頃はどう遣り繰りしていたのだろうと思い出して汗が・・我が夫もイクメンにはほど遠くもう一人の息子か?って位に思ったことも(笑)魔法の言葉:さしすせそ!もっと早くに知りたかったなぁ。今からはとても言えない。逆に「どこか悪いのか?」と言われそう。同時期の夫目線の日常も楽しく読んだ。が、新たに配属された網島くるみ、24才。私は、こういう女性は苦手です。今、共稼ぎで子育て中の方にはドンピシャかも!2018/07/17
takaC
211
前半の多香実の話(さしすせその女たち)は落ち着きのない話で疲れた。多香実さん育児ノイローゼ気味だろ。なので後半の秀介の話(あいうえおかの夫)が、宙ぶらりんで終わったような気がした。2018/09/19
utinopoti27
176
相手をやる気にさせる魔法の言葉「さ・し・す・せ・そ」。円満な夫婦関係に絶大な威力を発揮するはず、だった・・。本作の主人公・米澤多香美は、部下を持つIT関連企業の室長と同時に、保育園に2児を通わせる母親だ。家事に育児に仕事に連日忙殺される一方で、まるで他人事、能天気な夫を抱え、日々のイライラは爆発寸前。女性読者なら思わず膝を叩きそうな「あるある話」。よくあるモチーフと思いきや、そこは椰月さん、後半の夫目線パートでは、ラストが何気に怖い。これじゃあ悠長に「さしすせそ」どころじゃないよね。いっぺん死んでみる?2019/04/03