出版社内容情報
夫との快適な生活に満足していた知佳。しかし妹の出産を機に、夫の様子が変わってきて……(「1DKとメロンパン」)。子どもを持たないという人生を選択したひとたちの生き様を描いた、切なくも温かな短編集。
内容説明
夫と二人の快適な生活に満足していた知佳。しかし妹の出産を機に、彼の様子が変わってきて…「1DKとメロンパン」。妊活を始めて4カ月が過ぎた。時間がないとあせる妻に対し、夫の睦生は…「無花果のレジデンス」。独身OLの茂斗子は、単身者しか入居していないはずのマンションで子どもの泣き声を聞いて…「私は子どもが大嫌い」。子どもがいてもいなくても…毎日を懸命に生きるすべての人へ、そっと手を差し伸べてくれる、5つの物語。
著者等紹介
窪美澄[クボミスミ]
1965年、東京都生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で第8回女による女のためのR‐18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞、本屋大賞第2位に選ばれた。12年、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
635
子どもがいる、いない、欲しい、欲しくない、を中心とした男女の物語。読者はいやでも作中のエピソードのどこかしらに感化して、登場人物に寄り添わされることになる。各短編のバトンとなっているのが「子羊堂のメロンパン」。窪さん、どんどん上手くなってきている。2019/07/30
starbro
529
窪 美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。夫婦と子供を巡る連作短編集、色々と考えさせられる佳作です。悩んでいる夫婦は、多いんでしょうね。子羊堂のメロンパンを食べてみたい🍞🍈🍞🍈🍞🍈2019/07/13
ウッディ
402
子供という存在には「未来」というニュアンスがあると思う。子供を育てる自信が持てない妻、妊活に疲れきった夫、子供が好きになれない女性、わが子を亡くし妻と別れた男性、養子をもらいたい夫に同意できない妻、子供を授かり、育てることが当たり前だとする世間の考えに悩む人々を描いた5編の短編集。施設で育った自分が親になる資格があるのか悩み、自分たちが焼いたパンをひいきにしてくれる客の言葉に救われる「金木製のベランダ」に心打たれた。多様な家族のあり方を描いた物語には、胸に刺さる言葉が散りばめられていた。#ニコカド20202020/11/22
Yunemo
376
人の生き方の一番繊細な部分を柔らかな表現で、でも胸に突き刺さる感覚がそれぞれに描かれてます。表題で何を言わんとするのか、分からぬままに読み始め。5編の意味はそれぞれに深すぎて、「いる」「いない」の意味が、現在から未来への想いであり、他人に見せていない自分を抱えて生きてきた経緯、それを吐露する時期と相手への思いやり、そんな情景が浮かび上がって、迷いの境地に。結局は、子供がいてもいなくても、家族のカタチは変わらないんだな、というのが読み取れて何だか安心感も。メロンパンで始まり、メロンパンで終章、ふわっと感が。2019/11/10
修一朗
324
選択肢が増えている時代だし子供が欲しくても授からない夫婦にとって不妊治療技術は単純にいいことだと思っていたけれども,それでも授からない夫婦にとってはさらに厳しい現実になってしまう。子供がどうしても欲しい夫婦,子供が欲しくない/子供ができずにあきらめようとする,人生の岐路に立っている女性たちの物語。こどもを造るとしたらそろそろ年齢的に厳しくなってきた女性の心情描写が繊細だ。ここに出てくる御夫婦たちは同じ町内にお住まいなんだろう。同じ街中の同世代夫婦でもこれだけの選択肢,岐路があるのだ。 2019/11/08
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