出版社内容情報
永禄四年九月、川中島。妻女山に立て籠もる上杉謙信を狙う、一人の美少女がいた。名は、野風(のかぜ)。幼さが残るその少女は、謙信の首を狙う山本勘助の密命により選ばれた、最強の刺客であった! 傑作時代活劇。
内容説明
永禄四(一五六一)年九月。武田信玄と、上杉謙信は川中島で対峙していた。時を同じくして、謙信の首を獲れという密命を受け、故郷をあとにした少女がいた。名は、野風。野花に似た凛とした美しさをもつその少女は、暗殺者の隠れ里から選ばれた最強の刺客であった。一方、野風を阻止すべく、敵方からは“多聞衆”という、屈指の猛者で組織された用心棒集団が野に放たれる。死んでゆく仲間、裏切り、蹂躙される故郷…湧き上がる怒りと哀しみが、孤独な野風を、恐るべき速さで敵を斬り裂く、赤き鬼神に変えてゆく―。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年生まれ。群馬県出身。早稲田大学第一文学部卒業。2011年、第17回日本ホラー小説大賞最終候補となった『忍びの森』でデビュー(応募時タイトル「青と妖」)。15年「妖草師シリーズ」が、「この時代小説がすごい!2016年版」で文庫書き下ろし部門1位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
149
武内涼さん初読み。「『槐』が時代劇になればこんな感じ」という読友さんレビューに惹かれて読んでみると…女刺客・野風が縦横無尽に切りまくる姿は迫力満点で、川中島の合戦と絡めた舞台設定も上手い!信玄や謙信など歴史上の人物を始めとした人物配置も絶妙で、スピード感ある展開と相まりグイグイ読ませる…特に最終章は一気読みの面白さで、活劇と人情噺のバランスが良い、エンタメとして上等と感じた。『槐』(月村了衛作品)は未読でも名作漫画『あずみ』が好きな人にはオススメ!できれば、野風&弥太郎で続編を書いて貰えると嬉しい(^^♪2018/08/09
サム・ミイラ
103
おそらく多くの日本人が好む戦国時代の戦い「川中島の合戦」の裏にかようなドラマがあったと考えるとワクワクしてくる。上杉謙信暗殺の依頼を承けた美しき刺客の壮絶な行軍。とにかく強い。強すぎる。あずみも真っ青。八割方を占める戦闘シーンに興奮魂が震える。血煙が舞い首が腕が足首が瞬く間に飛ぶ。このスピード感と殺陣の描写は従来の時代劇をはるかに超えている。やはり「この時代劇が凄い」第一位は伊達ではなかった。あの「槐」が時代劇になればこんな感じになりそうだ。ただこの題名は何とかならなかったものか。それが残念である(笑)2018/07/26
みゆ
64
初読み作家さん。戦国の時代、有力武将に囲まれた「隠り水の里」ではどの武将にも付かない代わりに暗殺で金子と里への不出兵の約束を得ていた。そんな中、信玄の軍師・山本勘助は謙信の暗殺を依頼し、里は一番の腕利き・野風と仲間を送り込む。読友さんの「『槐』の時代劇版」の言葉通り野風のアクションは爽快そのもの!しかし話が武田軍と上杉軍の川中島の戦いに移るにつれ、信玄と謙信それぞれの戦略・人柄にワクワクした。特に謙信さんが魅力的♡でもラストは野風がきっちり締めてくれました。おもしろかったです(^^♪2018/08/04
みっぴー
64
「謙信を討て」ーー指令を受けたのは十七、八の少女、野風。武田のくの一と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、幸村に従い霧の中を颯爽と駆けていくあの子。どうもそっちのイメージが強すぎて、あまり物語に没頭できませんでした。きっとまっさらな状態で読んでいたら違った感想だったかもしれません。野風がいかにして最強の刺客となったのか、今までどのような任務をどのようにこなしてきたのか、もう少し彼女の力の源が知りたかったです。2017/07/23
ren5000
43
読み友さんのレビューに惹かれて手に取りました。いやいやすごく面白かった。凄腕の暗殺者になった野風の生い立ちはありがちだけどそれを吹っ飛ばすような闘いの描写は読んでて胸踊りました。何気に続編もありそうな雰囲気でその後の野風の旅も読んでみたいな。こんな面白い本に出会わせてくれた読書メーターと読み友さんに感謝です。2018/09/30