出版社内容情報
夫の転勤先の東京で幼馴染の平岩と再会した果歩。しかし招かれた平岩家は、不気味な砂が散る家だった。怪異の存在を訴える果歩に異常はないと断言する平岩。はたして本当に、この家に「怪異」は存在するのか――。
内容説明
夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた笹倉果歩は、ある日幼馴染の平岩敏明と再会する。彼の家に招かれ平岩の妻や祖母と交流をしていく中で果歩の心は癒されていくが、平岩家にはおかしなことがあった。さあああという不快な音、部屋に散る不気味な砂。怪異の存在を訴える果歩に対して、平岩は異常はないと断言する。一方、平岩家を監視する一人の男。彼はこの家に関わったせいで、砂が「ザリザリ」といいながら脳を侵蝕する感覚に悩まされていた。果たして本当に、平岩家に怪異は存在するのか―。『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』に続く、ノンストップ・ホラー!
著者等紹介
澤村伊智[サワムライチ]
1979年、大阪府生まれ。2015年『ぼぎわんが、来る』(受賞時タイトルは「ぼぎわん」)で第22回日本ホラー小説大賞・大賞を受賞し、2017年『ずうのめ人形』で第30回山本周五郎賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
318
守り神と呼ばれる存在は、大切に祀っている限りは、その家や土地、人を守ってくれるけれど、粗末にすると祟るものだと聞いたことがある。それは神罰と呼ばれ、霊的なものの中では最強に恐ろしいものだと。人の力を超えた何かと約束を交わすという事は、子々孫々まで大切に受け継いでいく覚悟が必要で、安易な考えで何かを祀ったり、元々あった物を勝手に動かしてはいけないと祖父はよく言っていた。子供の頃、町内の一家が最悪の事態になった事があり、大人達が「裏に龍神様があった。かなり放っておかれてたみたいだ」と話していた事を思い出した。2017/09/13
chika
284
いつのまにか、澤村作品4冊目の読了。今回は、ししりば!真相は、ひねりなく割とストレート。ビギニング比嘉琴子なお話です。読後は、鳥取砂丘にドコデモドアで来ちゃった感満載です。攻めの、ぼぎわん、ずうのめ、守りの、ししりば!でしょうか? 2017/09/07
しんたろー
254
シリーズ第3弾も怖かった…砂が効果的に使われていて、「さあああああ」「ざざあああああ」といった擬音も嫌悪感を煽る。「目の付け所が上手いなぁ」と感心しきり。琴子の過去や覚醒の時機も知れて、ファンとして嬉しいし、人間の狂気の恐さも巧みな表現だった。しかし、浮気相手の生き霊とか、冒頭の少女が葬られた動機とか、雑に感じられる話が多いのは残念。前作までの化け物達のような悪意だけの存在でないなら、もっと切なく描く事も出来た筈なのも惜しい。それでも、細かい章立てや時系列をずらす構成の妙で楽しめたし、第4弾も期待大♪♪♪2018/04/04
nuit@積読消化中
245
【日本の夏は、やっぱり怪談〈其の一・和編〉(2017年8月1日―10日)】『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』に続くシリーズ3作目。前2作に比べ派手さは劣るものの、今作にはジワジワと迫り来る怖さがあり、これぞ怪談と思える読み応えでした。今回の重要な恐怖アイテム“砂”の描き方が本当に不快で、本を読んでる時に飲んだ自分のお茶ですらジャリっとするんじゃないかと思えるほど(笑)。また、ホラーのお約束の、だから行くなって言ってるのにぃ〜にも見事にイライラさせられましたよ(苦笑)。2017/08/06
nobby
232
その家は何かおかしい…その怪しく得体の知れない恐怖を、誰もの身近にありながら何か不快を想像させる砂で描く様を存分に堪能。ザザザなどの擬音を用いての不気味さの演出が絶妙。時は違いながら曰く付き屋敷に巻き込まれた男女2人の視点で交互に語られる違和感や事態が徐々に重なっていく。冒頭からの登場にニヤリな琴子の終盤での活躍はまさに“ぼぎわん”エピソード0の位置付け。タイトルからの“ししりば”の正体が気になるばかりだったが今までと比べると少し弱かったかな…それでも存在意味の逆転の発想や弱点への伏線はお見事!2017/08/21