目次
第1部 追い詰められる角栄(発覚の真相;三木の怨念と執念;ロッキード事件はなぜ浮上した;キッシンジャーの「秘密兵器」;角栄の運命を決めた日;L資料の秘密)
第2部 なぜ田中を葬ったのか(日中国交正常化に困惑した米国;北方領土で米ソが密約;田中文書を渡した真意)
第3部 巨悪の正体(児玉の先に広がる闇;日米安保体制を揺るがす)
著者等紹介
春名幹男[ハルナミキオ]
国際ジャーナリスト。1946年、京都市生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。共同通信社入社。ニューヨーク特派員、ワシントン特派員と支局長、特別編集委員などを歴任。在米報道12年。1994年度ボーン・上田記念国際記者賞、2004年度日本記者クラブ賞受賞。07~12年名古屋大学大学院教授・特任教授、10~17年早稲田大学大学院客員教授。外務省「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」委員を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
114
ロッキード疑獄の未解明の部分に取り組んだ労作である。世に流布される様々な陰謀説が整理され、現代に蘇る。 昭和のこの時代の、アメリカの影響下での 政治の攻防が新鮮である。数々の陰謀説が 未公開資料とともに 吟味される。 巨悪の真相はよくわからないが、キッシンジャーと 田中角栄の関係は興味深い。2021/08/26
とくけんちょ
53
いやはや、もの凄い熱量を持って調べ上げ、書き切ったんだなと感じる。しっかりと結論まで結びつけているし、満足のラスト。しかし、文章が読みにくい。流れるように読めないし、分かりにくい。そこさえ忍耐力で耐えきれば、激動の時代の裏側を覗くことができる。国規模の利権が絡み、権力者たち、それぞれの青写真が重なり合う。これは、日本の近代史を知るうえで、読んでおくべき。2022/06/17
ぐうぐう
35
ロッキード事件の真相を暴く主旨の書籍は数多あり、最近では奥山俊宏の『秘密解除ロッキード事件』があるが、本書『ロッキード疑獄』の著者・春名幹男は奥山と同様、長らく日本に根強く蔓延る「角栄がアメリカの虎の尾を踏んだ」ことが米側の怒りを買い、その報復として事件が暴露されたとする陰謀論に安易に乗っかることをしない。しかし『秘密解除〜』と比べると、『ロッキード疑獄』はさらに踏み込んだ内容となっている。それを可能としているのは、15年に渡る取材の成果だ。本書の主役は、田中角栄ではない。(つづく)2020/12/28
月をみるもの
15
リアルタイムの記憶としては、立花隆と渡辺昇一の裁判に関する論争くらいからしか覚えておらず(当時はやっぱり右翼ってバカなの?という印象だった)、児玉とか小佐野とかコーチャンも名前は聞いたことあるな、、くらいのレベルだったので、事件全体をつかむには役にたった。アフガンやベトナム・キューバのような自立ではなく、豊かな属国であり続けることを選んだ我々の父祖たち、そしてその選択を見事に(?)誘導した岸・佐藤兄弟の系譜の中で、いまの我々も生きている。このまま次の世代に引き渡したくはない。2021/09/03
スプリント
12
大作 ロッキード疑獄のアメリカでの扱いにも触れ、 かつ、キッシンジャーと田中角栄の確執を発端とした陰謀論や児玉誉士夫の反省などとても幅広い範囲に触れているので 情報量が多い。 真相はともかく中曽根康弘がほぼ無傷だったのは何か理由がありそうではある。2021/12/25
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- 和書
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