内容説明
社交界の花形で、腕に黒いトカゲの刺青をしたその女は、実は「黒トカゲ」と呼ばれる暗黒街の女王、恐るべき女賊であった。とある宝石商が所有する国宝級のダイヤを狙う黒トカゲは、娘の誘拐を図る。身辺警護を引き受けた明智小五郎の想像を超えた作戦で、黒トカゲは娘の誘拐に成功したのだった。明智と黒トカゲの壮絶な対決の行方とは…。切ない結末が胸に迫る、ベストセレクション第5弾。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894年三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー。以後、「D坂の殺人事件」「心理試験」「孤島の鬼」などの探偵小説を次々発表。「人間椅子」「押絵と旅する男」「鏡地獄」「芋虫」「陰獣」「屋根裏の散歩者」など、怪奇小説、幻想小説にも優れた作品が多い。代表的なシリーズに、「怪人二十面相」「少年探偵団」などがある。日本の小説界に多大なる業績を残す。65年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つーこ
54
大掃除の戦利品♪名作読み直し週間。もう1ページ目から、グッと江戸川乱歩の世界に浸れる名作。どこに明智小五郎の罠が仕掛けられてるか、ワクワクしますね。黒蜥蜴夫人もゲームをしているかのように明智とのやりとりを楽しんでいるようにみえて、でもやはりそこは命のやり取りなのだと実感させられるラストでした。2020/04/28
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52
頭脳明晰な明智小五郎vs美しい怪盗黒蜥蜴。はじめこそ、二人の頭脳戦が繰り広げられ、あれやこれや一体全体どっちが勝つのか静かに見守っていたわけですが、後半に進み黒蜥蜴の美しくも狂気じみた一面があらわれるにつれて、ついついテンションもはねあがってしまった。幻想的でグロテスク、そこに狂気が混じった独特な世界観。トリックがどうとか事件の経緯なんかよりも、そんな世界観に触れることが、1番の楽しみです。美しい人間の剥製に人間の水中ダンスの鑑賞。悪趣味だと思う反面、心のどこかで見てみたいと思う自分がいるわけです。2015/03/29
芽
52
明智小五郎VS女賊の長編。 女賊の巧みなトリックといい、変装といい驚かされた。 明智も負けず劣らず、立ち向かう姿はとても良かった。2014/10/01
キナコ
45
黒蜥蜴とよばれる女怪盗と明智小五郎との攻防。黒蜥蜴の大胆なトリック、同作者の別作品ででてくるネタを元にしたものもあり、読み始めると一気読み。シャーロックとアドラーのような関係性が特に素敵。短編ではないが、登場人物も限られてくるのでおすすめ。2022/11/16
*maru*
43
ベストセレクション第5弾。輝かしい美貌を纏った女泥棒・黒トカゲvs名探偵・明智小五郎。乱歩の作品は余韻が凄い。トリックはちょっとアレだけど「ホホホホ」「ハハハハ」二人の関係性や絡み、キャラがもう最高。トリッキーでちょっとおバカで、ストーリーも文句なしの面白さ。これぞ、極上のエンタメ作品。そして、なんと言っても人間椅子again。これにはテンションが上がるし、この乱歩の心憎い演出に惚れ惚れ。ベストセレクション第4弾から間が空いてしまったが、次は『パノラマ島綺譚』ですか。ほほう。これは早めに読まねば。2018/05/03