内容説明
自宅の密室で恋人を刺殺された蓑浦金之助は、彼女が残した謎の系図を手に、死の真相に迫る。何かに導かれるように向かった孤島で金之助を待ち受けていたのは、想像を絶する恐怖だった―。妖気漂う筆致で事件を生々しく再現する表題作のほか、覗きをモチーフにした「湖畔亭事件」を収録。乱歩ファン垂涎の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
30
眉目秀麗の男性を一夜にして白髪の老人に変えてしまう恐怖とは。。密室での殺人で婚約者を奪われた主人公とその親友との執念の捜査が描かれるストーリーで、先に待つのは著者お得意のエログロナンセンス全開の大フェスティバルというぶっ飛んだ怪奇幻想ぶりにヘトヘトになってしまうも着地はなんと感動の余韻に浸れる「孤島の鬼」。覗き見男が見たとされる死体が消えた謎を追う「湖畔亭事件」は機知に富んでいておもしろい。。と本作は毛色の違う二作品が収められているのだが、この組み合わせが逆に互いの良さを印象づけさせる満足の一冊を生む。2017/02/06
にゃんころ
23
綾辻行人「フリークス」から触発されて久々に古典に手を出したのですが、旧文体に慣れていなかったのと、素人の手記という形式が読みにくい事この上なく、読み進めるのに時間がかかってしまいました(^^; 中盤くらいから徐々に盛り上がってきて、後半は文体に慣れた事もあって一気に読み終えてしまいました。しかし、仮にも探偵役だった諸戸の扱いがあんまりかなというのと、あれだけ確執のあった片割れが最後の最後にどうなったか触れられなかったのは残念。一応大団円という事になるんでしょうけど、ちょっとご都合に感じ無くもない。 2011/06/22
kana
19
日本文学の授業の課題で読んだのだが、これが面白く、衝撃的でまさに傑作、江戸川乱歩天才と大興奮してしまった。続きが読みたくて仕方ない読書は久しぶりであった。ポーの推理小説を読んだ上で、再読したい。2022/01/19
こふく
8
あー面白い!! 個人的、乱歩ランキング ①陰獣、②孤島の鬼、③白髪鬼・幽霊塔(元黒岩涙香)2023/02/18
きゅーま
7
諸戸と初代が不敏でしょうがない。一人称小説だからか主人公簑浦の自分に都合のいいように考え、他人の気持ちに鈍感なところが好きになれなかったです。…お話自体はすごく面白かったです!前半が謎解き、後半が洞窟探検になっており飽きずにさくさく読めました^^ ただ時代背景が(1940年代くらいに書かれたんですよね?)よくわからなくてとまどうところもありましたが、今読んでも全然面白いところに江戸川乱歩のすごさを見た気がします…2010/05/27