出版社内容情報
この二・二六事件が、日本の平和に関わった彼らの「その後」につながった…作家である「私」は、国立新美術館を訪れた。そこで不思議な軍服姿の男を見かけたのだが、その姿はかき消えてしまう。「私」は、美術館の建物が、一九三六年に起こった、大きな歴史上のクーデター事件である「二・二六事件」ゆかりであることに思いを馳せる。
帝都叛乱の二月二十六日、彼らはそれぞれの夜を過ごしていた……。当時の首相だった岡田啓介、侍従長だった鈴木貫太郎と妻のタカ、昭和天皇の実弟・秩父宮、陸軍の歩兵として反乱軍と同じ部隊にいた本多猪四郎、吉田茂の娘であり湯河原で襲撃を受けた麻生和子。五人それぞれの二・二六事件。
日本の平和に関わった彼らの「その後」は、この「二・二六事件」につながっている。史実を題材にした連作短編集。
「身代わり」 義弟が身代わりになり命を落とした首相・岡田啓介は、やがて第二次大戦の終戦に尽力した。
「とどめ」 襲撃された鈴木貫太郎へのとどめを制止したのは、妻のタカだった。彼は終戦内閣の総理となる。
「夜汽車」 叛乱を起こした青年将校らが要と仰いだ秩父宮は、事件直後に弘前から夜汽車で上京した。
「富士山」 襲撃を受けながらも祖父を守った麻生和子は、父・吉田茂の講和条約を助ける存在に。
「逆襲」 何もわからず反乱軍と同じ部隊にいた本多猪四郎は、長い出兵を経て、「ゴジラ」の監督になった。
やがて戦争に突き進む一九三六年に起こった事件は、現代日本の舵取りについても大きな示唆に富む内容を訴えかけてくる。今の時代だからこその小説がここにある。
植松 三十里[ウエマツ ミドリ]
1954年生まれ、静岡市出身。出版社勤務や7年間の在米生活などを経て、歴史小説を執筆。2003年、『咸臨丸、サンフランシスコにて』(原題「桑港にて」)で歴史文学賞受賞。2009年、『群青』で新田次郎賞受賞を、『命の版木』(原題『彫残二人』)で中山義秀文学賞を受賞。他の著書に『大奥開城 女たちの幕末』『家康の子』『北の五稜星』『調印の階段』『黒鉄の志士たち』『時代を生きた女たち』『リタとマッサン』『大正の后』『繭と絆 富岡製糸場ものがたり』『猫と漱石と悪妻』『家康の母 お大』など。
内容説明
帝都叛乱の二月二六日、彼らはそれぞれの夜を過ごしていた…。義弟が身代わりとなり落命、やがて第二次大戦の終戦に尽力した、当時の首相の岡田啓介。妻のタカが夫へのとどめを制した、終戦内閣の総理・鈴木貫太郎。弘前から上京した、青年将校が要と仰いだ秩父宮。襲撃を受けながらも祖父を守り、父・吉田茂を助ける存在になった麻生和子。事件当時に歩兵部隊におり、やがて『ゴジラ』の監督になった本多猪四郎。日本の平和に関わった彼らの「その後」に繋がる、「この一日」
著者等紹介
植松三十里[ウエマツミドリ]
1954年生まれ、静岡市出身。出版社勤務や7年間の在米生活などを経て、歴史小説を執筆。2003年、『咸臨丸、サンフランシスコにて』(原題「桑港にて」)で歴史文学賞受賞。2009年、『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞を、『命の版木』(原題『彫残二人』)で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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