出版社内容情報
西郷らの努力が実り、薩長連合が成立。混迷を極める時局を収拾するには武力解決――討幕より方法はないという気運が高まっていた。新たな時代の幕開けのために、西郷が奔る!!
内容説明
幕府に安政条約締結と長州再征への勅許が下ったことで、将軍辞職による幕府瓦解の工作が失敗におわった薩摩藩。西郷隆盛は同盟の機は熟したと判断し、黒田清隆を長州へ送り込む。坂本龍馬の活躍もあり、一時は不可能と思われた薩長同盟が成立。雄藩による革命の機運は高まり、武力による討幕は避けられない状況となっていた。一方、家茂の死後に将軍職を継いだ慶喜は、徳川氏としての勢力を維持するために大政奉還を決意する。4か月連続刊行、第3弾!
著者等紹介
海音寺潮五郎[カイオンジチョウゴロウ]
1901(明治34)年、鹿児島県生まれ。國學院大學卒。教員生活の後、創作に専念。36年、『天正女合戦』『武道伝来記』で第3回直木賞を受賞。以降多くの歴史小説を執筆。77年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おにく
24
史実に基づいた歴史モノは、文書等に書かれていない空白部分をどう描くか?それは各々の書き手に委ねられますが、あまりにフィクションが幅を利かせると、私の場合、それが史実でないと分かった時に興ざめしてしまうことも。この本の作者は、残された文書類から導き出された考察を大胆に披露する反面、書かれていない事柄はハッキリと「資料が無いので分からない。」と言い切るのが新鮮です。大政奉還など重大事件をあっさりと描いている分、政治的なやり取りが際立ち、西郷・大久保の二人がこの後、不仲になると思えないほど良い関係にあります。 2018/02/06
フミ
19
大量の文書、手紙の現代語訳を載せるなど「薩摩の幕末維新」を浮き彫りにしていく伝記、3巻目です。この巻も、兵庫開港を迫る4か国の談判(慶応元年)から始まり、第2次長州征伐~鳥羽伏見の直後まで、密度たっぷりに詰め込まれています。特に慶応3年の「薩摩の倒幕準備」辺りは、内部に倒幕反対派が居たなど、知らなかったことを沢山、教えて貰えました。ただ「江戸の薩摩藩邸」の辺りは「西郷の指示ではない!」と、感情的になっておられたようで「好きだから無罪」を前面に出すと、伝記としての価値が落ちるのだけどな…とイライラしました。2025/04/09
スミノフ
14
西郷さんの東奔西走は続く・・ ものの、第2巻までと比べると、西郷さん置き去りで出来事の羅列に重きが置かれ、 歴史の教科書を読んでいるような感覚を覚えました。 それはそれで勉強にはなるのですが、西郷さんがそのとき何を考え、どういう気持ちで動いたのかを知りたいな〜と思いました。2022/08/10
kouichi
13
資料をふんだんに使って、当時の事実に肉薄しようとする姿勢にある意味凄みを感じます。フランスやイギリスも絡む当時の混乱した複雑な状況がよく伝わってきます。ここから西南戦争まで、西郷がなぜ自害するに至ってしまったのか、第4巻を興味深く読みたいと思います。2018/06/12
BIN
10
薩長同盟前から江戸城無血開城前まで。今までにもまして史料を丹念に精査し書いてるのが窺える(というか文書の引用?が多い)。ここまで詳細な流れは初めてなので大変勉強になります。ただこれだけ読んでると薩摩勢だけで長州は何もしてないように思えてくる。それにしても徳川慶喜はよくわからない人物だなあ。2018/04/27