出版社内容情報
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。ようこそ、恩田陸の幽霊屋敷へ!小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!
恩田 陸[オンダ リク]
著・文・その他
内容説明
小さな丘に佇む古い洋館。この家でひっそりと暮らす女主人の許に、本物の幽霊屋敷を探しているという男が訪れた。男は館に残された、かつての住人たちの痕跡を辿り始める。キッチンで殺し合った姉妹、子どもを攫って主人に食べさせた料理女、動かない少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年―。家に刻印された記憶が重なりあい、新たな物語が動き出す。驚愕のラストまで読む者を翻弄する、恐怖と叙情のクロニクル。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞。06年、『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門賞。07年、『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
三つ編み少女の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
324
何とも不思議な、少し寒気が歩み寄ってくる作品。丘の上に建つ古くて小さなお家、周囲からは幽霊屋敷と呼ばれてる。短編で、全編一人称で語り手が『今現在』を語る。多くの人がこの家で生活を重ねてきた中、凄惨な出来事もあった。タイトルからは逆に『何が起こるんだ?』という興味が湧き、『幽霊』『一人称』で短編を繋ぐと最後にオオッとなった!我々が今住む土地では何千年も人が生きて死んでいった訳で、全ての土地に霊は時間感覚なく存在するのだろう。意外と話すと面白いのかな、幽霊さん。幽霊は何もしない。怖いのは生きてる人間よ‼️🙇2019/06/16
yoshida
124
古い屋敷が舞台。様々な年代を通しその屋敷に関わった人々の怪異が描かれる。現代に至る迄、限りなく多くの人々が産まれ亡くなっている。様々な場所に人々の思念や記憶がある。時と場所により強い思念や記憶があり、共鳴する想いがあろう。そこで見えたモノが幽霊と言えるのかも知れない。ある意味、私達が見えないだけで、そこかしこに所謂幽霊はいるのだろう。私達も人類の長い営みの一部であり、後世の人々に幽霊として認知されることがあろう。それは人類が滅亡するまで続くと言える。彼岸と此岸。境界は曖昧かも知れない。考えさせられた作品。2021/01/09
シナモン
116
丘の上に佇む古い洋館をめぐる物語。 壜詰めの子ども、じゃがいもの皮をむく姉妹、アップルパイの匂い、自殺した少年…さまざまなエピソードが絡み合い、混じり合い…じっとりと怖くて美しい。独特の世界観を楽しめました。2024/06/18
まこみん
112
常野物語の世界も好きだったけど、洋風世界のこちらも好み。丘の上の古洋館。関わった人達や何代にも渡って語り継がれる物語。幽霊屋敷。二人の大女、首を吊った男、その奥方と赤子、美少年、数知れない子ども達…彼らの其々が思い出になる。これからも。残虐な場面も恩田さんの叙情的な語りに寄って禍々しい感じにならない。日当たりのいい台所の情景…地下の貯蔵庫、パイの焼ける香り、剥かれたじゃがいもの皮…。拘りの表紙とカバーデザインの名久井さんとの対談も楽しめた。2017/03/18
デーカ
108
読んでいる時は薄気味悪い、いや~な感じがつきまとっていた。だけど読み終わると、なんだか温もりのある物語でまとまっていて、あの屋敷に住む、彼ら彼女たちの怖さがなくなっていました。たくさんの思い出や記憶が積み重なっている場所、あとは誰が接続するか。大工の話で癒されました。2017/04/28