出版社内容情報
坂口 恭平[サカグチ キョウヘイ]
著・文・その他
内容説明
何も持たない人間でも生きていく方法がある。ぼくらの周りには“都市の幸”が溢れているからだ。衣服にも食べ物にも困ることはない、もうどこかに勤めるのはよそう、家だって自分の手で作れる―。数々の先人の姿と、新たな思考法がここにある。「人間、どんな状態になっても、ぜったい生きていけるよ」。家・仕事・生活についての先入観を覆す、現代人必読の一冊。3.11、そして熊本地震で被災しての文庫書き下ろし原稿も収録。
目次
1 衣服と食事を確保する
2 寝床を確保し、パーティを組む
3 生業を手にする
4 巣づくり―準備編
5 巣づくり―実践編
6 都市を違った目で見る
著者等紹介
坂口恭平[サカグチキョウヘイ]
1978年、熊本県生まれ。作家、建築家、音楽家、画家。2004年、路上生活者の住居を収めた写真集『0円ハウス』を刊行。11年、東日本大震災をきっかけに「新政府内閣総理大臣」となり『独立国家のつくりかた』を発表、大きな話題を呼ぶ。フィールドワークにもとづく著作を発表後、小説の執筆も意欲的に行う。14年、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞を受賞。16年、『家族の哲学』で第57回熊日文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケー
22
坂口さんが今現在も抱いている思索の根源ともいえる一冊。坂口さんのいう「都市型狩猟採集生活」は「他者がだす廃棄物(都市の幸)」に依存しているのが前提。その時点で完璧に俗世間から離れて生活することはできない。しかしこの本で重要なのはその生活を実践することではない。今まで見たことのない視点、つまり坂口さんのいう「階層(レイヤー)」を見つけることにある。一つに凝り固まった現代社会の見方が坂口さんの丁寧かつ柔らかいことばで解きほぐされる。本人の建築家という経歴も見事に活かされた好著。2018/04/22
阿部義彦
21
ホームレスの暮らしを都市型狩猟生活と名付けてそのノウハウをときつつ人間は何も持たなくても充分生きていけるんだと勇気づけます。食べ物も着るものも全部拾えるし(都市の幸)電気も水道もひけるし自分で仕事をもち自活する事も可能です。その坂口さんでもある一人の生活者の暮らしぶりに目を開かせられます。その人は家すら持たずに配給のお握り2個で二日はもたせるし、清潔にしないと病気になるので毎日公園の水で体を洗う、曰くアルミ缶拾いは皆やるからぼくがやったら稼げなくなるからやらないの。お金という概念は必要ないの!驚愕。2016/08/20
オサム兄ぃ
11
建築と破壊を繰り返す消費文明の光と、その陰に存在する貧困。本書を読むと自分の頭で、身体に引きつけ考えることの大切さを強く感じる。ホームレス状態から「都市型狩猟採集生活」で生き延びるには想像力と観察力の「解像度」の高さが肝になる。衣食住はもちろん、ハンターたちは、たったの60円でカップ酒を売る自販機さえも見つけ出す。建築家から出発した著者の目線は、現代アートの作家のハートを感じさせる。東日本・熊本と大災害の続く今日なので、多くの人にお勧めしたい。「文庫版のためのあとがき」には、思わず震えて涙したしまった。2016/09/05
あび
10
文庫化していたので、読んでみた。お金も何も持たない状態でも生きていけるという話。現実味が無いように聞こえてしまうかもしれないが、著者坂口氏が路上で出会ったいわゆるホームレスの人たちはそれを楽しく実践していた。自分の頭で考え、独自の生活、仕事を作り出すことは可能と述べる。人間はどんな状況になろうとも生きていける、という究極の世界を知ることが出来る一冊だ。2017/12/06
ごろ寝
7
狩猟採集とあったので食べられる野草とか虫とか岡本信人的なものを期待していたが、そういったものはなかった。炊き出しとか残飯情報だった。0円ハウスを作るのも器用さが必要そうでぶきっちょな私はここでも落ちこぼれそう。路上生活者もなかなかのサバイバルスキルを持っている方々であることがわかった。2016/08/16