角川文庫<br> 33個めの石―傷ついた現代のための哲学

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角川文庫
33個めの石―傷ついた現代のための哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 224p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041046265
  • NDC分類 104
  • Cコード C0195

出版社内容情報

「やられたらやりかえせ」という報復の連鎖を、私たちは越えて行けるのか報復の連鎖の時代における、かすかな希望は確かにある。
人は傷つけ合う、その先を見つめた、柔らかな哲学エッセイ。

米国・バージニア工科大学で起こった銃乱射事件。
32人の学生、教員が殺され、犯人の学生は自殺した。
キャンパスには犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。
33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。
石は誰かによって持ち去られた。学生はふたたび石を置いた。それもまた、持ち去られた。
すると、別の誰かが新しい石を置いた。
「犯人の家族も、他の家族とまったく同じくらい苦しんでいるのです」。
犯人も現代社会の被害者であるという追悼を、われわれは出来るだろうか。
敵と味方の対立を無効化し、「やられたらやり返してやる」という報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。

単行本刊行後、東日本大震災を経て発表された5編と書き下ろしを加えた文庫特別版。

社会は変わりようがない、人々が傷ついたとしても仕方がないというのっぺりとした社会意識を、食い破ることのできる希望。
それはまだ小さな流れではあるけれども、世界のあちこちで少しずつ開こうとしている柔らかなつぼみなのだ。

目次

文庫版へのまえがき

赦すということ 1・2・3・4
自殺について 1・2・3・4
33個めの石 1・2・3・4
恐怖を消す薬 1・2・3・4
脳と幸福 1・2・3・4
「人道的な」戦争 1・2・3・4
子どものいのち 1・2・3・4
人間と自然 1・2・3・4
パンドラの箱を開けるロボット 1・2・3・4
差別と偏見 1・2・3・4
英語帝国主義 1・2・3・4
ナショナリズム 1・2・3・4

監視カメラ 1・2・3・4
「君が代」と起立 1・2・3・4
男らしさ、女らしさ 1・2・3・4
おしゃれと化粧 1・2・3・4
中絶について 1・2・3・4
不老不死は幸せか 1・2・3・4
故郷 1・2・3・4
都市の本性 1・2・3・4
異邦人である私 1・2・3・4
加害と被害 1・2・3・4
哲学とは 1・2・3・4

33個めの石、ふたたび

追悼の意味
つぐないの花束
「可能世界」を考える
米の乱射事件
銃乱射事件の「赦し」

文庫版へのあとがき

森岡 正博[モリオカ マサヒロ]
もりおか・まさひろ 1958年、高知県生まれ。哲学者。
大阪府立大学教授を経て、早稲田大学人間科学部教授。大学では哲学・倫理学を担当。無痛文明論、生命の哲学などを提唱し、従来の客観的な学問の枠組みを超えて、みずからを棚上げすることなく果敢かつオリジナルな思索を展開し、人文学の領域を大きく押し広げる。著書に、『無痛文明論』『生命学をひらく』『生命観を問いなおす』『自分と向き合う「知」の方法』『感じない男』『宗教なき時代を生きるために』『草食系男子の恋愛学』『まんが哲学入門』ほか。

内容説明

32人が殺された米国の銃乱射事件。犠牲者を悼む石に33個めを加えた人がいた。それは自殺した犯人への追悼である。犯人も現代社会の被害者だと、われわれは追悼できるだろうか。敵と味方の対立を無効化し、報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。赦し、自殺、「人道的な」戦争、差別と偏見…私たちの日常にある、身を引き裂かれるような痛みと希望を気鋭の哲学者が思索した、魂のしずくのような柔らかな哲学エッセイ。

目次

1(赦すということ;自殺について;33個めの石 ほか)
2(監視カメラ;「君が代」と起立;男らしさ、女らしさ ほか)
3(追悼の意味;つぐないの花束;「可能世界」を考える ほか)

著者等紹介

森岡正博[モリオカマサヒロ]
1958年生まれ。哲学者。大阪府立大学教授を経て、早稲田大学人間科学部教授。大学では哲学・倫理学を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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白義

16
「傷ついた現代のための哲学」と題されているが、しかしその実態は「全ての傷を無化しようとする現代」への対置として思考の意義を問いかける哲学エッセイ集である。例えば、監視カメラのような監視技術の発展、あるいは相対主義の発展と裏腹のカルト宗教の台頭など、そうした時代の傾向に「無痛文明」と名をつけた著者の論考の延長にある文章が並んでいる。自分の中の差別意識や戸惑いまでストレートに表明して行きつ戻りつの思索を重ねていく誠実な文章に示唆されることは多いが、そんな著者の持ち味を生かすには一文が短すぎるのも否めないところ2019/06/23

ayumii

14
被害者が人間なら加害者も人間なのだ。どちら側にも、不在を悲しむ家族がいるかもしれないということに想像をめぐらせること。難しいかもしれないけれど、そうしなければ憎しみの連鎖は止まらない。臓器は親族に優先的に提供するという考えが、人種や宗教団体への差別的な考えと一直線につながっているという言葉にドキッとした。自分と反対側から物事を見ている人と、本当の意味でわかり合うことはできるのか。いろんな意味で考えさせられることが多かった。2020/07/22

江藤 はるは

7
今ここにある何か 目を閉じても零れそうな気がして2020/01/24

まっちけん

5
森岡さんはいつも「迷って」いる。そしてその「迷い」や違和感を隠さない。そんな「迷い」に一応の答えを出さない。出さないで迷い続ける。それが哲学なんだと思うと、苦しいだろうなって思う。分別よく生きていくより、迷いを迷いのまま持ち続けて生きる方がよっぽど苦しいと思う。福知山線事故の運転士を慰霊の対象にすべきか否かは、重い問題だな。それと、森岡さんの自身が捨てたはずの方言に対する思いが、僕が目を背けていたことを見せつけられたようでちょっと苦しかった。2019/04/30

しゅんぺい(笑)

4
ずっと読みたい読みたいと思っていた本が文庫化されたので、この機会に読んだ。ここまでのショートエッセイとは思わへんくって、もっと長い文章が読みたいと思ったけど、森岡さんの言いたいことは伝わってくる。被害者三十二個の石に加害者を入れて三十三個めの石を加えたっていうエピソード、感動的。さすがの森岡さんのアンテナ。2017/01/31

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