出版社内容情報
探偵は、壁越しに推理する――部活と少女と少年の爽やか学園ミステリ!弓道部、漫画部、学園際、修学旅行……美しい被写体を追い求める写真部・有我遼平に周りには難事件が続発。しかし、正体不明の女生徒は事件の真相をことごとく言い当てる。探偵少女と写真少年の推理と恋の推理劇。
高木 敦史[タカギ アツシ]
2009年「なしのすべて」で第13回角川学園小説大賞優秀賞を受賞。翌年、受賞作を改題した『菜々子さんの戯曲』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。その後、複数のライトノベル作品を発表後、2014年『演奏しない軽音部と4枚のCD』(ハヤカワ文庫)で、一般文芸に進出。今後の活躍が期待される若手ミステリ作家。
内容説明
写真部・有我遼平と占い女子・鉢町丹子は幼馴染みだが、高校生となった今は互いを避ける微妙な関係。あるとき弓道部で起こった「期待のエース突然退部事件」に巻き込まれた遼平の話を、偶然聞いてしまった丹子は、持前の洞察力を駆使し、事件の真相をこっそり言い当てる。図らずも遼平を救った丹子は、その日以来物陰から遼平に推理を伝える「壁越し探偵」となった。気になるのに近づけない。じれったい男女の恋と謎解きの青春。
著者等紹介
高木敦史[タカギアツシ]
1979年福島県生まれ。2010年、第13回角川学園小説大賞優秀賞を受賞した『“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
65
安楽椅子探偵ものだとタイトルでは気が付かなった。 推理小説は好きなのだが、この安楽椅子探偵ものは苦手だ。 しかも、理屈っぽい文章と変にこなれた感じの会話、それが高校生の間で行われるという違和感。 取るに足らない事件が続発して、壁を隔てた推理が行われるのだが、当然、会話のみで話が進んで、解決してしまうのである。 そりゃ、安楽椅子探偵だから、複雑なトリックなんかには挑めないから、おのずとこんなものかで済んでしまう。 やっぱりこのジャンルは苦手だ。 2020/02/15
よっち
35
幼馴染ながら今は微妙な関係の写真部・有我遼平と占い女子・鉢町あかね。たびたび事件に遭遇する遼平を、推理を伝える謎の「壁越し探偵」となって救う青春ミステリー。あかねが密かに営む占い師の依頼者と事件がリンクしていたりで、距離を置きながらも意識する遼平を正体を明かさないままたびたび救う展開。凄まじい洞察力を発揮するのに、不器用過ぎて遼平に気づいてもらえないこじれ具合が切なかったですが、それでも二人のすれ違いのきっかけとなった過去の事件と今がようやく繋がって、これからの変化を期待させるラストはとても良かったです。2016/07/04
あゆみ
24
★★★☆☆ あらすじの「壁越し探偵」という言葉に惹かれ購入。写真部の有我が遭遇した事件の話を聞くだけで事件の真相を言い当ててしまえる丹子の洞察力がすごい。丹子が請け負う占いと事件がリンクしていたり、カメラを巡る現在と過去の事件の真相を解くことで有我と丹子のすれ違いの原因が明かされたり、最後のどうする?どうなる?の引きなど、設定や文体と話の展開は好み。でも自分勝手で責任転嫁する登場人物が多くキャラの魅力が乏しい。2016/08/17
きょん
15
安楽椅子探偵ものなんだけど、壁越しの二人の物理的心理的距離感が面白かった。個人的にはもっと勧善懲悪な結果があってほしかった気がするけど、なかなかそうはうまく行きませんよね。ラストのどうするどうなるの続きが幸せであってほしいな。2016/08/17
しぇん
14
青春ミステリー。事件巻き込まれ型の人物の写真部の少年と彼と口も聞かない関係になっているけど、裏から助けてあげるヒロインという構成ですね。ヒロインの一瞬で物事を察する能力は驚異的な域に達してますね。後、爽やかミステリとありますが、中々困った登場人物も多かった気が。一応ミステリーだからしょうがないでしょうが。ヒロインのトラウマも克服されて綺麗に終わっていますが続きがあれば読んでみたいです。2016/06/19