出版社内容情報
かわら版が暴くのは、正義か、悪か。気鋭による長篇時代小説。
かわら版売りの利吉が変死した。利吉の幼馴染でやはりかわら版売りの才助は、利吉の死を書き立てたかわら版に腹を立て、記事を書いた元武士の青山孫四郎のもとへ抗議に押しかける。孫四郎から巻き上げた金を売上げとして版元に納めた才助だったが、今度は才助が何者かの襲撃を受け、九死に一生を得る。利吉の死の裏に何があるのか?女絵師、市麻呂も巻き込んで、孫四郎とともに謎に迫る才助は、浄泉尼という女呪術師の存在に行き当たる。謎の言葉「神渡し」とは?陰謀の糸は江戸城・大奥へと……。
内容説明
かわら版売りの利吉が変死した。利吉の幼馴染で同業の才助は、「鬼を見た」と彼の死をおぞましく書き立てた物書きの青山孫四郎に腹を立て、かわら版を売らぬとねじ込んだ。だがその矢先、才助は何者かに襲われ、さらに孫四郎も怪しい影に付きまとわれているという。利吉の死や「鬼」と何かかかわりがあるのか。才助と孫四郎、そして巻き込まれた女絵師の市麻呂は協力して、利吉の死の真相に迫るが…。注目の著者による長篇時代小説。
著者等紹介
犬飼六岐[イヌカイロッキ]
1964年大阪生まれ。大阪教育大学を卒業後、公務員などを経て、2000年『筋違い半介』で第68回小説現代新人賞を受賞しデビュー。11年、『蛻』が第144回直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゅう
5
主人公才助は、かわら版の読み売り。相方?の孫四郎は、武士でかわら版の記事を書いている。才助の幼馴染みの読み売り、利吉が死んだ。鬼に殺されたと記事にした孫四郎宅に、こんなかわら版は売れないと、才助は乗り込む。そして、才助は、何者かに襲われた。何故あんな真似をしたのか聞かれるが、才助には、さっぱり。才助と孫四郎は、調べ始める。面白かったです。シリーズじゃないのですね。残念。2020/07/27
タツ フカガワ
5
かわら版の読み売り才助は、「鬼を見た」と言って死んだ男と幼なじみで、浪人の青山孫四郎とともに不可解な死の謎を探っていく。やがて第二、第三の殺人が起き、事件の裏に怪奇な匂いがしてきたあたりからテンポアップ。才助と孫四郎との掛け合いも面白かった。2018/02/07
M2
4
初作家さん。期待以上に読み応えのある話で満足。才助と孫四郎のかけ合いが楽しかった。シリーズ物かと思ったらこれでおしまいなのかな。ちょっと残念。2016/04/20
matsu0310
0
☆既読2016/01/24
zatugei
0
時代小説は文化文政期以降の、あまり年代設定をはっきりさせないことが多いが、これは正徳3年(1713)の出来事と設定されている。その理由が最後に明かされることになる。軽いタッチで描かれているが、有名で重要な、でありながら互いに無関係な二つの事実と事件を結びつける。こんな視点があったのか。驚かさせた。2020/03/30
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