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角川文庫
ブランコ乗りのサン=テグジュペリ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 328p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041037393
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい。

20世紀末に起きた天災から数十年後、復興のために首都湾岸地域に誘致された巨大カジノ特区に、客寄せ目的で作られた少女サーカス団があった。選ばれた少女たちは観衆の憧れと熱狂を身に纏い、舞台に立つが……。

内容説明

首都を襲った天災から長い時が過ぎた。震災復興の名目で湾岸地域へ誘致された大規模なカジノ特区には、客寄せに作られた少女サーカス団がある。そこで古き文学者の名を戴き、花形の演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業した精鋭のみ。ところがある日、8代目サン=テグジュペリこと片岡涙海が練習中に空中ブランコから落下。身代わりで舞台に立ったのは、天才の姉とは姿だけがそっくりの、双子の妹・愛涙で…。

著者等紹介

紅玉いづき[コウギョクイズキ]
1984年生まれ、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。2006年、少女の崩壊と再生を描いた『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞を受賞、07年同作にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう

75
儚く脆い、一瞬の煌めきを、美しさを、命をかけて披露する少女サーカスの演目者たちの物語。双子の妹に代役を頼まれるブランコ乗りのサン=テグジュペリ、笑わない猛獣使いのカフカ、美しき娼婦の歌姫アンデルセン、折れそうな細さでパントマイムを演じる人形チャペック…。学園での熾烈な競争をを経て演目者となった彼女たちの、それは戦い。どの少女も美しく、脆く、そして強い。さすがは紅玉いづき。ずっと読みたくて読めていなかったが、やっぱり読んでよかった。ラストのサン=テグジュペリは良かったなー。やはり彼女は舞台にいてこそ。2016/05/25

らじこ

60
文章は昔より読みにくくなった気はしたけれど、なめらかで艶やか。紅玉さんの一人称視点は新鮮でぐいぐい物語のなかに引き込まれた。相変わらず描写が詩のようで美しい。スポットライトを浴びるブランコ乗りに人魚のような歌姫、獣を友とする猛獣使いの少女たちの生き方は強くたくましく艶やかで、逆に男性の魅力の薄さが気になった。きっとアンソニーはいい男なのだろう。それが伝わらなかったのが残念だ。歌姫アンデルセンが守ろうとするサーカスの形が朧げであるのと、守り方の描写にももうすこし掘り下げが欲しかった。でもまた再読したい。2016/01/05

ゆかーん

58
小さい頃から憧れていた夢を叶える為に、『少女サーカス』の空中ブランコ乗りになった双子の姉の涙海。彼女は『サン=テクジュペリ』と呼ばれ、人々から愛されていました。でも、ある日涙海はブランコから落下…。演技ができない彼女の代わりに、双子の妹の愛涙がその役を務めます。華やかな舞台とは裏腹に、彼女を妬む仲間たちの嫌がらせは絶えません。また、団長が彼女達の進退を、賭けの対象にしているという事実が発覚します。今後の行く末に不安を感じながらも、最後に『不自由なことは、美しいことよ』と言える涙海の強さに胸を打たれました。2016/03/30

まりも

57
震災復興の名目で首都の湾岸地区に建てられた少女サーカス団。そのサーカス団で古い文学者の名を戴き、花形の演目を任されている少女たちの物語。とても面白かった。自分の稚拙な文章では言い表すのは難しいけど、この作品は傑作であることは間違いない。煌びやかで夢のある世界に永遠は無いという事を理解しながらも、刹那から永遠を求め、自分の全てを賭ける少女たちの姿はあまりにも眩しく、彼女たちの持つ覚悟に圧倒されてしまいました。少女たちの持つ儚さと力強さ、美しさを見事に描いた作者さんのセンス光る素晴らしい作品。おすすめです。2016/01/07

masa

57
文庫本になったということで、物語としては再々々…読くらいか。やっぱり大好き。どうしようもなく、心掴まれる。少女たちの背負う宿命と覚悟。不完全で未熟だからこそ、その一瞬に、刹那の輝きに、少女たちは夢を魅せる。不自由で不器用で、切実な生き方。その若さを、命を削って生きる様は、とても歪で、そして美しく、愛おしい。またこの世界を堪能する。どの少女も魅力的なのだけれど、私はアンデルセンが好きなのだった。彼女の歌は願いであり、祈りで。彼女の生きる場所は、だからこそ、永遠を求める。その響きに、余韻に包まれていたい。2016/01/02

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