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夜に啼く鳥は

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041037294
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

かつて、これほど美しくて哀しい“化け物”がいただろうかーー。古来、傷みや成長を食べる「蟲(むし)」を体内に宿す不老不死の一族があった。その一族は地図にのらない里で、長い間、人目をはばかって暮らしていた。里の岬には、八百比丘尼とも言われる”シラ”という一族の祖を祀っていた。その末裔のなかでも強大な力を得た御先【みさき】は、どんな傷も病も治す能力を持ち、150年以上生きているとは思えぬ10代のままのような美しさで、ふたなりの身体を持ち、性別はもはや定かでない存在として畏れられてきた。今では、時の権力者の施術を生業として暮らしている御先だったが、付き人だった玄孫【やしゃご】の雅親【まさちか】をつき離し、一族の里を離れ、夜の店で働いていた傍系の四【よん】と行動をともにするようになり、ある”事件”に巻き込まれることになり……。主人公たちの過去と今が交錯し、時代を超えて現れる愛しい人……。不老不死の一族の末裔が現代の都会に紛れ込む――妖しくも美しく、そして哀しい現代奇譚。 泉鏡花文学賞受賞作家が挑む新境地。カバー挿画は、中村明日美子さんが担当。

シラ 
はばたき
梟(ふくろう)
ひとだま
かみさま
躑躅(つつじ) *書き下ろし



千早 茜[チハヤ アカネ]
1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『森の家』『桜の首飾り』『眠りの庭』『男ともだち』などがある。

内容説明

その里は地図に載っていないという。里のお屋敷には燃えるような躑躅の花が植えられており、どんな病でも治してしまうという“蟲宿しの一族”の末裔で強大な力を得た御先が住んでいた。御先は心から慕ってくる雅親を突き放し、里を出て夜の店で働いていた四と出会う。そして“事件”は起こった…。現代の都会の闇に紛れ込み、不老不死の一族が、時を超えて愛しい人を求める、禍々しくも哀しい現代奇譚。

著者等紹介

千早茜[チハヤアカネ]
1979年、北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。小学生時代の大半をアフリカ・ザンビアで過ごす。2008年、『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で第37回泉鏡花文学賞も受賞。13年、『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

275
不老不死の一族が、愛しい人を探し続けて、、、というファンタジー&連作短編集。著者名で飛びついてしまったが、期待・予想とまったく違う内容であった。こういう表紙画、最近流行ってるのかしら。2018/04/07

おしゃべりメガネ

190
北海道生まれの「泉鏡花文学賞」&「島清恋愛文学賞」受賞作家、千早さんのファンタジー作品です。『魚神』や『あやかし草子』テイストな作品なので個人的には『からまる』や『眠りの庭』『あとかた』テイストな作品のほうを期待していました。読み進めていくと、確かにある意味若干恐ろしい部分はありますが、そこはやはりさすがの千早さん、うっとりするようなキレイな文体で流れるように儚さや悲哀を見事にまとめあげています。この手の作風だと読んでいて情景が想像しづらい作品も少なくはありませんが、本作はイメージしやすい作品でした。2016/10/15

❁かな❁

189
哀しく美しく妖しい雰囲気で泉鏡花賞を受賞されている千早茜さんらしい作品。『魚神』『あやかし草子』のような香り漂う。蟲を宿し永遠に死ぬことのない一族の御先(ミサキ)。様々な哀しい記憶と共に永遠に続く命。とても苦しく切ない。四(ヨン)の飾らない明るい人柄に救われる。四とは対照的な雅親の存在も良かった。書き下ろしの最終章が特に切なくて、とても胸に沁みる。千早茜さんの現代風の作品も大好きですが今作のようなファンタジー系の作品も素敵。暗闇で青緑に光る蟲たちが幻想的。繊細で妖艶な世界観。哀しく美しく愛おしい現代奇譚。2016/10/22

優希

133
美しさと哀しさが同居していました。「蟲」を宿す不老不死の一族にまつわる幻想譚。童話のような雰囲気が徐々に妖しの空気へと流れていく感じが好みです。独特の雰囲気、優しい中の孤独が輝きを持って幻想の世界を作り上げているようでした。五感が刺激されるような空気に異世界へと誘われていくような感覚に陥ります。2016/10/14

mariya926

115
不死の主人公。怪我をしても蟲によって癒されます。何かファンタジーのようなお話だけど、作家さんの才能か読み易かったです。特に熊さんが亡くなるのは悲しさが伝わってきました。やっと出会った愛する人なのに、相手が老いていくのを見続けるのは哀しい。現代ではその力を利用して、一族は生き続けるけど、何か自由がなくてそれはそれで悲しい。死なないことって、老けないことって、人間はそれを追い求めているかのように生きているけど、小説にしたらこんな感じになるのですね。2024/02/04

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