出版社内容情報
ベトナムの首都ハノイで働く著者は、認知症になった母を新潟から移住させ新生活を始めた。人間関係の濃い下町の旧市街や、旅先での緑豊かな山々の光景に母は昔の想い出を語る。感動の輪が広がる映画化原作!
内容説明
ベトナムの首都ハノイで、日本語教師として働く著者。新潟に住む81歳の母とは離れて暮らしていたが、母の認知症がひどくなり介護の必要性が増したことから、母をハノイに迎え同居生活を始めた。人間関係の濃い下町の旧市街や旅先での緑豊かな山々の光景に刺激され、母はイキイキと昔の思い出を語り出す。転倒による大怪我や失踪事件などのトラブルにもめげない母娘。等身大の海外介護の日常をユーモラスに綴った感動のエッセイ。
著者等紹介
小松みゆき[コマツミユキ]
1947年新潟県生まれ。15歳で上京、出版社などで働きながら、高校・短大で学び、法律事務所に就職。92年、日本語教師としてベトナム・ハノイへ。2001年、認知症の母親とベトナム暮らしを始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
61
この本は現実に介護をしている人、介護がいずれ自分に回って来る人、ある程度年齢のいった人でなければ、この本の良さがわからないかもしれない。たまに認知症状を現す母に、こちらの体調如何で鬼にも優しい娘にもなってしまう。越後とベトナムではとんでもない違いと思うが、Baの目には広がる緑は越後と変わらず、ベトナムの人達も昔の・・田舎の人々を思い出させるくらい優しく、お年寄りをいたわる風潮が残っているようだ。今の日本では介護保険もでき、お年寄りに優しいと政府は銘を打っているが所詮お金。お金が無ければ笑顔さえ受けられない2016/02/11
ワニニ
60
他に術もなく…の、思い切った行動だったのだろうし、連れて行くまでの煩わしさ大変さ、行ってからのいろいろな苦労はきっと想像以上かと思うけれど、小松さんやお母さんの前向きなきもち、ベトナムの人々の優しさが溢れて、良い話だった(実話だけれど)。認知症が幸いした面をクローズアップして、お母さんの最晩年を楽しく思い出深く共に過ごし、親孝行出来て、羨ましい。これは面白く読めてイイ感じだったが、老後のこと、考えさせられるなー2015/10/13
ぶんこ
57
立て続けに実母の認知症を主題にした本を読みました。この本の前の本は息子さんである海外の学者さんが書かれていたのに対して、こちらは娘さんの日本語教師が書かれています。女性目線だからか共感する点も多く、読み易く「あるある。ウンウン。」と入り込んであっという間に読み終えてしまいました。何度も「満足した母親の顔を見るのは気持ちがいい」と書かれていて、共感しつつも私はここまで出来なかったなぁと反省しきり。ベトナムで介護をすると決めたのが凄いと思いましたが、読んでいると来て良かったのではと思えました。2019/08/17
こばまり
48
認知症電車死亡事故の最高裁判決翌日の産経抄に紹介されていたので手に取ってみた。この病気ならではの苦労が綴られており頭が下がる思いだが、彼の地の風土とお国柄、そして何より著者のお人柄でタイトル通り実に爽やかな手記に仕上がっている。己にも訪れるかもしれない将来にもんもんとしてしまうが、ひとまずはベトナム旅行に思いを馳せようか。2016/03/07
よこたん
37
越後(新潟)から越南(ベトナム)へ。著者の暮らすハノイで共に生活することとなったのは、81歳認知症の母親。「ここは雪が降らんでいいのお」何度も出てくる言葉に、今までの苦労がしのばれる。言葉は通じなくても、文化や生活が違っていても、認知症を患う身であっても、物怖じせず相手の懐にするりと入ってしまえる母親が微笑ましい。話がかみ合わなかったり、捜索願を出す羽目になったり、転倒→手術の介護に振り回されてヘトヘトの娘さんは大変だったろうが、母親はベトナムの人達との相性も良く、穏やかな余生を過ごせたのだと思う。2016/10/02
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- 雪が降る 角川文庫