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出版社内容情報
ラーントルクとともに調査を続けていた妖精兵ノフトは、ふと思い返す。空の上に帰っても、あの生意気で口うるさい蒼髪の女はもういないのだ。物語の舞台は、《獣》によって滅ぼされた地上へ――。
内容説明
おかえりの声を、聞きたかった。ただいまを、きちんと、言いたかった。バターケーキを、食べたかった。それらの願いは、すべて叶った。帰るべき場所へ帰り、逢いたかった人に逢えた。だから。約束は尽きて。追いついてきた終末は、背後から静かに、少女の肩に手をかける。青年教官と少女妖精の、儚く輝いた日々。第3幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
θ(シータ)
121
「だって、気づいちゃったから。わたし、もう、とっくに幸せだったんだって」《奇跡》を起こし前世の侵食を一時的に退けたクトリ。でも、どんな奇跡にも代償はあるもの。ほら、彼女の肩に終末が……第3幕。悲しい…ひたすら悲しい。奇跡を起こし一時的ながら侵食を退けたのに宿命は!使命は!運命は!クトリを決して離そうとしてくれない。しかも、話が進むにつれて性格・口調が変わっていき記憶はどんどん欠けていく。だが、ヴィレムへの想いは募っていくばかり。果たしてこの終末の行方に救いはあるだろうか…星6つ【⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️】2015/08/19
スズ
107
意識が戻ったクトリだが、彼女は黄金妖精ではなくなっていた。妖精兵を引退したクトリは、ヴィレムとの温かい日常を過ごすが、彼女の記憶は前世の記憶の侵食で削られ続けていて……。クトリが記憶を削られながらもヴィレムの側を離れず、大好きな彼に寄り添い続ける姿に胸を打たれた。ヴィレムも彼女を助けたい、クトリを幸せにしたいという想いに溢れていて、彼に守りたい者や帰りたい場所、生き続ける目的が出来ていたことが伝わってきた。ヴィレムが大好きで、彼がお父さんで、クトリがお母さんになってほしいと呟くラキシュが可愛らしかった。2016/10/13
シータ
72
嫌な予感はずっとしてたし、身構えてはいたけど、やっぱり辛いものがある。前半の日常パートからもう不穏な空気しかなかったし、記憶が徐々になくなっていくのがもう読んでて辛かったのに、最後の数ページはもう切なすぎて全俺が泣いた。というか、クトリを救える可能性をチラつかせる辺りが憎たらしいですわ。あとクトリの「わたし、もう、とっくに幸せだったんだって」という台詞がすごい印象強かった。2016/10/31
雅
67
表紙が全てか?コレは切なくて泣ける2022/07/18
giant★killing
67
内容はヴィレムの「おかえり」の声を聞き、それに「ただいま」と返せて、彼の焼いてくれたバターケーキも食べることができたクトリ。願いは叶った。彼女の蒼い長髪が徐々に、でも確実に赤く染まっていく…。P85 約束は尽きて。追いついてきた終わりは、背後から静かに、少女の肩に手をかける。 そんな中、クトリは、P201「幸せになるって、どういうことだと思う?」と考え始め…そして…P262「ごめん。わたし、もう、絶対に、幸せになんてなれないんだ」「だって、気づいちゃったから。わたし、もう、とっくに幸せだったんだって」。→2015/12/10