出版社内容情報
恩田 陸[オンダ リク]
著・文・その他
内容説明
ミヤコの最高学府、光舎の生徒会長選挙。それはミヤコ全体の権力者を決定する伝統と狂騒のイベント。美形剣術士で春日家の御曹司、紫風は三期目の当選を目指していた。ある日、紫風は立会演説会中に選挙活動を妨害される。それは反体制勢力、「伝道者」の宣戦布告だった。彼といとこの女子高生剣士、蘇芳は次第に巨大な力に巻き込まれていき―。アクション満載、近未来の日本を舞台に繰り広げられる、絢爛豪華な玉手箱!
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞。06年、『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門賞。07年、『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
250
軽薄な若者言葉の蔓延、労働生産人口の激減、若年層の働き生きる意欲の低下、過剰資本主義による格差の拡大、世界との競争に敗け続け環境破壊も止まらぬ余命幾ばくもないニッポンを憂い『旧き善き日本の復活を!』と有志独立自治体『ミヤコ』を運営する若き強き美しき高校生達の奮戦ファンタジー。時代はこの国の退廃を感じる近未来。現代へのアイロニーを匂わす著者の遊び心ファンタジーに感じますがホントに恩田陸さん?なぜかストーリーとガラス一枚隔てて読み進める感覚で入り込めませんでした。私の感性もう若くないから?そりゃそうか‼️🙇2019/05/26
さてさて
130
『薔薇を背負って現れるミッチー』、『日本の夏、緊張の夏』、もうあまりのかっ飛びぶりが度を超えるこの作品。一本突き抜けた世界は人に快感を生む、そのことを実感させてくれる驚天動地の設定の妙。小説を読むというより、世界観を楽しむ作品。テーマパークのアトラクションを楽しむ作品。アトラクションに意味などないように、その瞬間の享楽に浸る喜びを噛み締める、それがこの作品の楽しみ方。こういう作品が恩田さんの作品群にあるのも悪くないと思います。というより、よくもまあこんな世界観の作品まで描けるもんだと、ただただ驚きました!2020/12/06
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
114
二つの勢力に分断された近未来の日本。伝統回帰し鎖国を貫く『ミヤコ』と、経済大国の残滓に固執する『帝国主義』。そこに『伝道者』を名乗る第三の勢力が現れ不穏な空気が漂う……。エッセイなどでマンガへの愛を語る恩田陸さんが、心の宝箱を開いたようなカラフルな学園ノベル。生徒会長で政財界にも強い影響力を持つ剣の達人の美少年と、脇を固める美少女剣士とか学園ドラマをデフォルメしたような設定。アニメのノベライズのような展開。『恩田陸ブランド』で手に取った読者は裏切られた気持ちになるかも知れないが、軽く読めて楽しめた。2016/03/31
七色一味
78
読破。常野物語のような重厚感がなく、「ラノベ」を仮に纏ったようなアンバランスさを感じたまま読了。このアンバランス感を解決してくれないと、どうにもこうにも寝覚めが悪いというか。あっちもこっちも奥がありそうで、これまた尻が落ち着かない。恩田さん、なんとかしてよ!2016/04/23
NADIA
76
「ミヤコ」が舞台となった7編の連作短編集。いきなり説明なしに放り込まれる感がとても恩田風。『ロミオとロミオは永遠に』の作風に近いもの感じたが、出来がいいとはいえ主要登場人物の高校生たちが校内だけでなく社会的にそんなに大きな影響力を持っているって・・・(^^; 高校生である必要あるのかな。コメディチックだが笑えるという程ではない。どうにも中途半端な印象を持ちながら読んでいたのだが、最終話でこの世界観に納得。恩田作品では珍しいはっきりした結末だった。2020/03/11