出版社内容情報
どう考えても腑に落ちない、霊とも人間の仕業とも解釈できない出来事から、人間の強烈な悪意や狂気まで。平穏な日常を不安に陥れる99話を収録。知ってしまったことを後悔する、これが現代の怪異譚。
内容説明
刑務所で病に伏せる罪人に高額な医療費を送りつける逆・死神。古書店で入手した一般人の日記帳に綴られた壮絶な書き込み。ファンから著者に贈られた鍵と簡素な地図。女性ライターの股間に憑いたインチキ霊能者の生霊。どう考えても腑に落ちない、霊とも人間の仕業とも解釈できない出来事から、人間の強烈な悪意や剥き出しの狂気まで。平穏な日常を不安に陥れる99話を収録。知ってしまったことを後悔する、これが現代の怪異譚!
目次
鉄道員の思い出
金髪のマネキン人形
ミイラ作り
憑き物さん
父親の行方
殺人と反省
三番目の夫
気配
覚えがありません
本人ではありません〔ほか〕
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。99年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。また、同作に書き下ろし3編を加えた同題の短編集が、ジャンルを超えた質の高い作品性を支持され、第13回山本周五郎賞を受賞する。恋愛小説『tr´ai c^ay(チャイ・コイ)』で第2回婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で第9回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
56
実話怪談集。ホントこの人の実話怪談って、独特の地位を占めているな。他の実話怪談みたいに怪異が直接顕現するってわけじゃないのに、読んだ後妙に心にもやもやしたものが残るというか。人間も生霊も幽霊も全て同じ地平で語られていて、そのどれもがどこかにせせこましい部分が見てとれるのが何とも言えない。怪談というより、人生の断面を切り取って見せられているような心地さえする。人生ってせせこましい事の連続で、そんなだからこそ斯様な奇矯な行動がいつまでも記憶に残るのであるかなあ。あ、「あの女」も一応出てはおります。2015/06/24
坂城 弥生
48
縁があるんだかないんだかよくわからない巡り合わせの話が今回は多かったかな。そもそも私自身が人間の縁は不思議な物だとは思っている人なので、余計に不思議としか言いようがない話が印象に残った。2021/02/23
澤水月
27
本が倍くらいの厚さに…イイ! 素晴らしい! と思った話、頁角を三角折りしてたら。ああ、作家だ…と改めて底力実感、夢十夜や冥途級に悪夢のようで蠱惑的な話ばかり。実際にあった事件が元の奇妙な話が大好物で、今巻は特に多いような…勝手な推測だがここの所、ホラー怪談畑で実録殺人も書き語りも軽妙な某作家と共演機会が何度か続いたエッセンスが上手〜く取り込まれ著者色に染まっている気が(真似になりがちな人物なのに違うのがさすが)。語ると下品なのに書くと艶になるのには感服。シリーズで一番好きかも。あの女前面でないのも⚪︎2015/06/22
ラルル
24
安定の現代百物語シリーズ。ですが、今回いつもに増して面白かったように思うのは気のせいでしょうか(笑) 人間と異界の入り混じった「怖い」がテーマですが、今回は異界率が若干高かったようにも思います。2015/07/23
pulpo8
21
シリーズ第7弾。「第八話 気配」これ好きだなぁ。閉まっている方にゾクッ。「第三十八話 名前の由来」興味深かった。「第四十九話 符号」こういうどこかで誰と誰が繋がっていたっていうのが多いので、岩井さんが話を調整しているんだなと感じるようになった。そういう作り物感があっても面白いし怒りも湧かないのだから、小説家だな~と何度目か分からないが思う。「第五十一話 住みたくない家」SFっぽくお気に入り。「第六十三話 カード泥棒」怖い。「第六十八話 なりすまし」笑ってしまった。岩井さんがちょっと可愛く見えた(笑)。2017/09/06
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