出版社内容情報
若き日の久鬼玄造と梶井知次郎が馬垣勘九郎から譲り受けた能海寛の『西域日記』と橘瑞超の『辺境覚書』。二冊の本に記されていたのは、過去に中国西域を旅した彼らが目の当たりにした信じがたい事実だった。
内容説明
馬垣勘九郎が何者かに殺された。若き日の久鬼玄造と梶井知次郎は馬垣の秘密に関わることを決め、生前託されていた包みをほどく。その中身は、明治期に中国西域を探検した能海寛と橘瑞超の日記だった。瑞超の『辺境覚書』には、彼が馬垣と体験した信じがたい記録が綴られていた。彼らが遭遇した奇妙な足跡を持つ獣とは。外法印が描かれた仏画の秘密とは!?遙かな時と大地を超えて、いよいよキマイラをめぐる因縁が語られる。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
53
角川版キマイラ第14巻、前巻で’60年代の九鬼玄造の過去からさらに1912年の中国西域へ。『よくできました』。そもそもが現在の玄造が語る回想なのだが、この巻ではその回想のなかで玄造の読む一次大戦直前の橘瑞超の手記による敦煌での経験という二重構造。キマイラという物語に絡めつつも、著者の西域趣味全開な「敦煌」「千仏洞(俗にいう莫高窟)」への造詣と西域探検への憧れがひしひしと伝わってきますね。それでいて日本古流と中国武道の邂逅という見せ場にもきっちりとページを割いて知識の羅列のみにならないバランスが秀逸ですよ。2015/09/13
木村 武史
20
久鬼玄造の話が長くて、今何処にいるのか分からなくなった。玄造の回想からさらに回想に行く構成って絶対混乱する。しかも敦煌が舞台なのに、何故か前田光世の影がちらつく。(多分、執筆当時はグレイシーブーム)早く現代に戻ってきて。2023/06/08
なつみかん
6
獏さん・・・中国行って帰って来ないなぁ〜(^_^;)まだこのまま中国話が続きそう〜 いいんだけどね、とにかく続きを!2015/09/19
onisjim
6
回想の中で別人物の回想が語られ、さらにその中でまた異なる回想が語られるというちょっとおもしろい構図になっている。それをおいても敦煌や桜蘭といったロマンに満ちた地名や、八卦掌使いの登場などで、短めの一冊なのだけれどもなかなか楽しめるのだった。2015/08/31
爺
5
九鬼玄造の回想の中で、更に回想ターン。どんな物語だったか、現在進行形のメイン話を忘れてしまいそうだけど、面白いんだよなぁ(笑)2015/10/31