出版社内容情報
八重山諸島は古くから自らを象徴する星を愛でてきた。星には神が宿り、石垣島には神々が近況を伝え合う群星御嶽があった。神々が御嶽に集うとき、物語が誕生する。唄の島、鳩間島を描く文庫版特別短編も収録
内容説明
沖縄県八重山諸島は古くから自らを象徴する星々を愛でてきた。星々には島ごとの神が宿り、親島である石垣島には、そんな島の神々が近況を伝え合う御嶽があった。八重山諸島の言い伝えによれば島と島は家族のようにつながり支え合っているという。神々が群星御嶽に集うとき、再会した親子の会話は宴となり、新たな物語となってともに輝きを増していく―。唄の島と言われる、鳩間島を舞台にした文庫版書き下ろし短編も収録!!
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナスわが島のはなし』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭』が直木賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
106
こんな素敵な本だとは思わなかった。島、特に沖縄の八重山諸島が好きな自分にとっては、舞台はどストライク。一章一島で完結していく短編集なのだが、それぞれの島に根付く神々や言い伝えを、実に上手に料理しており、どの短編も読後感はすこぶる良い。おまけに最終章が、八重山の中の親島「石垣島」なのだが、そう繋がるとは!!と驚くやら、ニヤニヤするやら。教えてくれた読友さんに感謝。2015/09/12
らむれ
87
信仰って、爆破したり乱射したりすることじゃなくて、こういう静かで平和な生活の祈りのことなんだ、と再確認させてくれる一冊。自然と共存する人の世の営みの暖かさが伝わる短編集。家族がいて、ご先祖様がいて、生まれ育った自然があって、幸せってそういうことよね。最初の方、特に現代ものでは少し説明口調なのが気になりましたが、中盤からは気にせず楽しめました◎長編も読んでみたいな~。寒くなってきて、夏に訪れた八重山が恋しいです;;それぞれの島の風土が伝わってきて、離島に行きたい熱が煽られて大変!八重山そば食べたいなぁ。2015/12/09
あおでん@やさどく管理人
44
【読書会紹介につきレビュー書き換え】舞台は、石垣島を中心とする沖縄県八重山諸島。島ごとに神が宿り、人々は神を祀る。島の伝統や風土を織り込んだ短編は、まさしく色とりどりの星のよう。そして、親島である石垣島の物語を読み終えたとき、きっと気付くだろう。――これは、一つの星座の物語であったのだと。2015/07/24
翔亀
39
【沖縄42】八重島の9つの島を舞台にした連作短編小説集。全く同じ9つの島の1964年時点のルポである新川明「新南島風土記」に続けて読んだのが良かったと思う。八重島の歴史・民俗・歌謡・自然に、ますます愛着が湧いてきた。そして池上永一の作品に久しぶりに感動した。■この作家の初期は石垣島を舞台にし、「風車祭」など感動的だった。舞台を沖縄本島や東京に移した「レキオス」や「シャングリ・ラ」は、SF的な想像力に感心はしたが、感動はなかった。琉球王国の「テンペスト」では、わずかに出てくる石垣島の場面が感動的だった、↓2021/12/25
はづき
27
沖縄を舞台にした小説を書いてきた著者が、出身の八重山諸島を題材に書いた短編集。それぞれの島が自然にしてもこんな違いがあったなんて知らなかったし、色彩にあふれる物語だった。 表紙からもっとファンタジー色が強いのかと予想したけど、ほのぼのしてるものから、怖いものまで、それぞれの島を舞台に趣向のちがう物語が最後でつながる。 2016/01/26