出版社内容情報
髪が抜け、やがて歯が抜ける極限の飢え、鼻腔をつく屍臭。生きるためには敵兵の血肉をすすることすら余儀なくされた地獄の戦場とは――。『太平洋戦争 最後の証第一部「零戦・特攻編」に続く第二部「陸軍玉砕編」。
内容説明
ガダルカナル、ニューギニア、インパール、サイパン、ルソン、レイテ、硫黄島、沖縄、占守島…。日本軍は、圧倒的な火力を誇る米軍とどう戦ったのか。兵士たちの生の証言は、これまで画一的だった戦場の常識を根底からひっくり返すものだった。髪が抜け、やがて歯が抜ける極限の飢え、鼻腔をつく屍臭。生きるためには敵兵の血肉をすすることすら余儀なくされた地獄の戦場とは―。「太平洋戦争最後の証言」シリーズ第2弾。
目次
第1章 悲劇の序章「ガダルカナル」の死闘
第2章 血肉をすすったニューギニア戦線
第3章 インパール作戦「白骨街道」の屍
第4章 玉砕の島「サイパン」の赤い花
第5章 レイテ島「八万人」の慟哭
第6章 二十万人戦死「ルソン島」の殺戮現場
第7章 玉砕「硫黄島」奇跡の生還者
第8章 癒えることなき「沖縄戦」の傷痕
第9章 ソ連軍急襲「占守島」の激闘
著者等紹介
門田隆将[カドタリュウショウ]
1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。戦争、事件、司法、スポーツ等、幅広いジャンルでノンフィクションを執筆。『この命、義に捧ぐ台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)で山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
131
2018/4/18 Amazonより届く。 2020/5/5〜5/24 先日読んだ「零戦・特攻」編に続く第二弾。ガタルカナル、インパール、サイパン、レイテ、硫黄島、沖縄など敗戦に向けて劣勢の中、無謀とも思える戦いを生き残った元兵士達の生々しい証言。戦争は何があっても起こしてはいけない。2020/05/24
kinkin
113
太平洋戦争の激戦地であるガダルカナル島、レイテ、ニューギニア、インパール、沖縄他で戦って生還した元日本軍兵士の証言を元に構成した本。最近半藤一利さんの本を読むことが多い。他の著者が描いた戦地の状況を知りたく読んでみた。半藤さんは空襲や身近に亡くなった人や遺体をリアルでみたことに対し著者の本は伝聞を主にしていることと太平洋戦争に対するスタンスが違う面に築く。生存者はひとりひとりの記憶も違う、まさに藪の中。しかし悲惨であることには変わりないと感じた。図書館本2022/03/19
yoshida
109
太平洋戦争を奇跡的に生き抜いた元兵士達の証言。終結の見込みの無いまま対米戦争を余儀なくされた日本は、米国との国力、生産力、科学技術の差が鮮明になるにつれ、精神主義を強くする。戦争は外交の一形態だが、敗戦となると本当に悲惨である。そこに実情を知らない作戦が大本営より出される。特にインパール作戦の牟田口司令官は無謀な作戦をごり押しし、上層部も情実で作戦を認可してしまう。その戦場はまさに地獄である。米国と戦争などしたい国はない。外交で戦争に開戦に追い込まれた当時の日本政府。塗炭の苦しみを繰り返してはならない。2015/07/04
かおりんご
45
今回は陸軍の玉砕が中心。昨今、特攻隊に注目が集まり、映画や小説、ドラマになったりしているけれど、特攻隊はなくなった方のほんの一握りにすぎない。もっともっと悲惨な現状があったことを知るべきだと思うし、戦闘ではなく病気や栄養失調のためになくなった人たちが多かったことを伝えていかなければならないと思う。2015/08/03
リュウジ
4
★★★★★やっぱり門田さんの本はいい。アタマのお腹にしっかりたまる。この二部は陸軍の有名な戦いで生き残った人たちの証言だ。特攻など、空の戦いの死については、軍備や兵器能力、さらには戦術において劣っていたり愚かであったりしても、まだ「戦っている」と言えるもの。しかし陸軍での死の多くは、戦っての死ではなく生きることに対しての敗北=死である。戦うよりも先に、ただ山中を逃げ惑う。生きるために銃を捨てただ逃げ惑う。戦闘からの死から逃れるようにしながらも、マラリヤや赤痢、飢餓、戦傷によってただただ死んでいく。 2016/02/04