出版社内容情報
今すぐここから逃げ出したい。でも、どこへ?
大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。
息子のお受験、最上階に住む医者一族との関係etc.
タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。
同じタワマンに暮らすからこそ、低層階と高層階、子供の成績、学歴、年収など、他人と比較して羨むことを止められない。
世間体に翻弄されるさやかは幸せを見つけることができるのか?
文庫書き下ろし短編のほか、単行本時の特別短編も収録!
・単行本カバー裏特別短編「高杉隆の初恋」
・単行本電子特別短編「目黒奈々子の後悔」
・書き下ろし短編「伊地知琉晴の進路」
内容説明
大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。息子のお受験、最上階に住む医者一族との関係etc.タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ―。同じタワマンに暮らすからこそ、低層階と高層階、子供の成績、学歴、年収など、他人と比較して羨むことを止められない。世間体に翻弄されるさやかは幸せを見つけることができるのか?
著者等紹介
外山薫[トヤマカオル]
1985年生まれ。慶應義塾大学卒業。2023年に『息が詰まるようなこの場所で』(本書)でデビューし、啓文堂書店小説大賞2023を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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mayu
24
湾岸沿いのタワマン"ローゼスタワー"に住む住人たちの連作短編集。外側からは見えないそれぞれの息の詰まる場所。タワマンに住む事への憧れや小学生の子供の受験など、子供の地頭だけでなく親の資本力も無ければならない。上には上がいる、この場所にいたら確かに肩の力を抜く事など難しいだろうなぁ。何もかも持っていて幸せそうに見える家庭でも他人からは見えない悩みや葛藤を抱えている。親の期待を背負わされ、勉強を義務づけられている子供達が未来を掴み取っていく姿が眩しく、ドロドロしそうなのに爽やかな読後感が良かった。2025/02/16
ちょん
21
オーディブル🎶長い間聞いていたので終わってしまってちょっと寂しい。卒業生答辞が心に残ったなぁ。仕事から帰る時、家やマンションの灯りとか見てると、あの一つ一つに物語があるんだよなぁと思うととても感慨深くなるのですが、そんな感じのお話でした(どんな感じや)2025/03/22
Kazuko Ohta
19
生まれも育ちも関西の私は、MARCHと聞いてもすぐにわからなくて、クイズのように大学の名前を考えながら読みました。なるほど。本作自体がマウントを取りにきているような気がして、登場人物の誰も好きになれないと思いつつも、誰の気持ちもちょっとわかる。要は、彼や彼女たちと同じところがある自分のことが嫌なんですよね。嫉妬、焦り、優越感、はたまた劣等感などなど、人には知られたくない気持ちを隠そうとする自分のことが嫌で、本作を読むとそれを見せつけられている気がするのだと思います。タワマンって、凄い舞台になるものだなぁ。2025/05/31
lily
13
「東京というすべてが狂った異常な街で、息が詰まるようなこの場所で、私たちは何を追い求めて消耗しているのだろうか。」最上階に住む医師の一家、地権者枠に住む料理人一家、低層階に住む銀行員一家と、タワマンに住む人間模様は千差万別。資本主義を煮詰めた閉鎖的な空間でとられるマウント合戦は痛々しいのと同時に空虚。幸せとは何かを問いかける点では普遍的なテーマだが、[タワマン=高収入=幸せ]という構図を見事にぶっ壊してくれるタワマン文学の先駆けであり名著。言葉回しが上手く何度も唸った。2025/05/16
はるな
4
ママ友のドロドロした雰囲気がそんなになく、子供たちも捻くれてなくて、読みやすかったです! それぞれが進む道もよかったです!2025/03/20