出版社内容情報
男役トップになって二日後に事故死して以来、宝塚の守護神として語り継がれてきたファントムさん。一方、新人公演で大抜擢されたひかるを待ち受ける試練とは――? 愛と運命の業を描く中山可穂版・オペラ座の怪人!
内容説明
トップになって二日目に舞台事故で亡くなった50年前の伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、その新人公演の主役に大抜擢された永遠ひかるの前にあらわれた奇跡とは―。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。
著者等紹介
中山可穂[ナカヤマカホ]
1960年生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
114
宝塚の男役の世界が美しくてドキドキさせられました。男役トップになった束の間、事故死したことで宝塚の守護神として語り継がれているファントムさん。ストーリー的にはオペラ座の怪人のような雰囲気がありました。トップスターの引退公演と新人公演を舞台にすることで、激しい舞台裏が描かれていたと思います。新人のトップとして引き抜かれたひかるの運命、宝塚に潜む亡霊、様々なスターたちの心情がリアルに迫り、これが宝塚の世界なのだろうかとフィクションながらにグッときました。2016/05/05
あすなろ
102
宝塚とは?宝塚の男役とは何か?昔から謎の世界。あとがきにも、すみれ色のバリアに包まれているかのようにガード固い世界とされている。さて、僕は男である。どうして100年も昔から女性演じる男役に狂気乱舞するのか?不思議な園であった。本作は、それを垣間見せてくれた。女性の理想とする男性を演じる。退団したら、宝塚の男役は何にも役に立たない。よって、男役の退団は葬式みたい。そんな表現がある程度のリアルさを持って降りてきた。宝塚という独特の世界とそれを取り巻く世界の熱波を感じ得たことは、読書ならではの愉しみであった。2015/05/26
ばう
75
★★★★嘘でしょ⁉︎あり得ない!と思いつつも全くの異世界である宝塚ならあり得るかもしれないと思えるお話。宝塚というのは本当に不思議な世界です。現実世界に有りながら非現実世界を見させてくれる。勿論これも一つの立派な商売だから儲けが無ければ成り立たないものなのだが、そんな事も忘れさせる夢の世界、それが宝塚です。100年の歴史があるのだからファントムくらい本当に居そうです。トップさんの孤独、新人公演の大変さがリアルに伝わってきてヅカファンには是非お勧めの一冊ですがそうでない方にはどうでしょう…?2015/09/06
ゆみねこ
72
悲劇の男役・ファンファンと、宝塚のスターたち。とても面白く一気に読みました。いつか、本物の舞台を見てみたいです。笹にしき・夢ピリカは、ちょっとネーミングセンスに疑問符(笑)2016/10/06
あじ
72
万雷の拍手は早鐘の鼓動になり、のたうつスタンディングオベーションは蛇のように私の身体に巻き付いた。緞帳が降りた客席で茫然自失の只中、光の梯子を昇る背中を滲む眼で追いかけた。五十年の劫罰から解かれしあなたは、真の男役でした…。宝塚という舞台を汚さず、二人の結び付きを神聖なものとして描ききった著者に改めて惚れ直す。新規のファンを掴む、媚薬となりうる作品だった。2015/04/18
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