出版社内容情報
後鳥羽上皇から勅撰和歌集の撰者に任命された定家。しかし歌神と名乗る者から和歌所を閉鎖せよと脅迫文が届く。次々舞い込む弔歌と相次ぐ歌人の死に関連はあるのか。定家は長覚の力を借りて謎解きに挑む――
内容説明
後鳥羽上皇から勅撰和歌集の六人の撰者の一人に任命された藤原定家。そこにある日、歌神と名乗る者から脅迫文が届く。曰く、ただちに和歌所を閉じよ。さもなくば、当代の六歌仙を一人ずつ死に至らしめる―これは後鳥羽上皇への挑戦状なのか。当代六歌仙とは誰を指すのか。そして、歌神の正体は一体!?次々舞い込む弔歌と相次ぐ歌人の死。事件の真相に迫る為、定家は長覚の力を借りて再び謎解きに挑む!
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第4回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短編「虚空の花」で九州さが大衆文学賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
121
和歌ミステリの一冊。後鳥羽上皇から勅撰和歌集の撰者に任命された藤原定家が和歌所閉鎖の脅迫文、弔歌と歌人の死の謎に迫る和歌を軸にしたミステリ。鎌倉での頼朝の死から三年、京の都ではこのような時間が流れていたのか。興味深さと共にこの時代の上皇を取り巻く世界、都の空気をたっぷり味わえた。有名な数々の和歌に込められた想いを味わえたのも楽しかった。改めて言の葉の奥深さ、美しさを感じる。鎌倉サイドとの絡め方も巧く、物語に膨らみを持たせていたと思う。最後はせつなさも感じられて満足。この時代の速攻で和歌を詠む才能がすごい。2022/07/15
さつき
68
勅撰和歌集の撰者に選ばれて和歌所に連日詰めている定家。ある日、歌神と名乗る人物から和歌所を閉じなければ当代の六歌仙を殺すと脅迫文が届きます。当代の六歌仙とは誰なのか?歌神の目的とは?源通親と九条家の権力闘争、後鳥羽上皇と土御門天皇との父子間の葛藤など背景の描き方も重層的で読み応えありました。前作よりもこちらの方が好み。2022/07/03
優希
56
歌神からの挑戦状が届くというところからつかまれました。六歌仙を殺していくというのは後鳥羽上皇へのものだったのか、六歌仙とは誰なのか、歌神の正体は。謎が謎を呼ぶのにのめり込みました。歌人が相次いで亡くなるのは呪いなのかもしれないと思います。華やかな時代の事件簿というのが好みでした。2020/12/11
アルピニア
54
シリーズ二作目を先に読んでしまった。藤原定家が園城寺法眼長覚の智慧を借りて、勅撰和歌集の和歌所に届いた脅し文の謎を解く。歌神の名で届く六歌仙の歌と弔歌。誰が誰になぞらえて殺されるのか・・。解き明かされた事実は何とも哀しく主上の心中を思うと胸が痛む。定家が少し軽めの人間臭い人物として描かれているのが新鮮。シリーズ一作目も読もう。2022/12/09
syaori
43
藤原定家が主人公ということで…。新勅撰和歌集の編纂に忙しい和歌所に、和歌所を閉じなければ当代六歌仙を殺すという脅迫文が舞い込んだことから始まるミステリーは、良経様や慈円様、俊成卿女、源通親、もちろん後鳥羽院と新古今時代の名だたる歌人、公人が登場するので大変華やか(私的に)。当代六歌仙とは誰なのかも気を持たせて、定家と頭を悩ませてしまいました。謎解きは当時の政情を上手く絡めていると思うのですが、そのために明瞭さを欠くことになっていて残念な部分も。ただ良経様や慈円様がたくさん登場くださっていたので満足です。2017/03/06
-
- 和書
- バトラー入門 ちくま新書