内容説明
浅草の裏長屋に仕事場を構えた指物師(木工職人)の弦次。ところが長屋は空き部屋ばかり。どうやらある部屋に女の幽霊が出るせいで、誰も居つかないらしい。恐がりだが根が真面目な弦次は、不真面目な先輩住人の三五郎、幽霊画を描くのにどうしても本物を見たい町絵師の朔天とともに、原因究明という名のおばけ退治に乗り出すが…!?痛快!傑作!江戸怪談ミステリ。
著者等紹介
輪渡颯介[ワタリソウスケ]
1972年東京生まれ。明治大学卒。2008年『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BlueBerry
86
一応連作短編集なんですが最後に纏めてスッキリ終結していますから一つの作品と考えても大丈夫だと思います。お化けの絵を描くと言う課題をクリアするために東奔西走するわけですが先が読み難いので引き込まれて読めました。人情物の風情もあるしユーモアも盛り込まれていましたからその点でも飽きずに読めたのが良かったです。短くて読み易いので割とお勧め。序盤○中盤○ラスト◎総合◎2015/01/21
みい坊
38
怖がりでお化けが苦手なくせに、男が廃ると痩せ我慢する弦次。幽霊画を描くためにお化けに会いたい朔天先生。お調子者のようでいながら、冷静に事件を紐解く三五郎。怖いお話が苦手の私でも楽しく読みました。弦次のお父さんや師匠が粋な雷親父で、その、教えを受けた弦次が、本人は自覚していないながらも雷親父の片鱗を覗かせる「託す相手は穀潰し」好きなお話です。短編集だと思った物語が最後にひとつに繋がって、思わずお見事と感嘆しました。朔天先生には、ぜひ、幽霊を見せてあげたい。店番する犬の十余一が、犬好きとしては気になりました。2015/02/28
万葉語り
34
独り立ちの仕事場を求め、格安の長屋に移り住んだ弦次。そこでさっそく女の幽霊を見てしまい、本物の幽霊の絵を描く依頼を受けたのに全く見られない雲井朔天や、職業不定の三五郎とともに、幽霊話を求め歩く。最後に今までの話がすべて集約されていくのが気持ちよかった。2015/03/07
瑪瑙(サードニックス)
33
独立した指物師の弦次が引っ越してきた長屋は幽霊が出ると言う曰くつきの物件だった。そこで知り合った三五郎と幽霊の絵を描くために引っ越した来た絵師の朔天。弦次と三五郎は朔天が幽霊画を描けるように協力していく。弦次は真面目、三五郎はお調子者、朔天は変わり者。3人が幽霊を求めて様々な場所に出かけていくのはちょっと滑稽でもありました。普段はちゃらんぽらんな三五郎が意外に鋭くて本当は何者?と思いました。ラストはナルホドと思いました。2020/11/17
007
33
★★★☆☆ テンポもキャラも良く面白かった。大の大人が幽霊話に首を突っ込む姿はなんともコミカル。「女の勘」を侮ってはいけないのだ。今後楽しみなシリーズになりそう♪2015/02/07