出版社内容情報
芦沢 央[アシザワ ヨウ]
著・文・その他
内容説明
どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう―。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!
著者等紹介
芦沢央[アシザワヨウ]
1984年東京都出身。2006年千葉大学文学部史学科卒業。12年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Yunemo
356
妻と娘を理不尽な死により見送った夫であり父、この展開は他作品でも経験。この辛さ何とも言いようがなく、それだけでへこみます。とはいえ、4人の視点で展開される過程に、それぞれの特性が。人間なんて多少の相違はあるけど皆こんなもの、とまでは言い切れず。女子高生の日常ってこんな感じ?咲と早苗の性格、特性は現実的なもの?ちょっと異常じみて、安藤と真帆が一般的、そんな想い。各人それぞれの焦りの心情の過程、特に早苗の揺れ動きが特筆、互いに気遣う父と娘の心情の相違、あまりに詰め込み過ぎの感。それでも引き込まれて読了です。 2015/10/11
mae.dat
337
自殺の様な事故を発端とした5章立て+エピローグ、プロローグ。各章は更に被害者父安藤聡、友達A木場咲、友達B新海真帆、被害者父同僚小沢早苗と目線が入れ代わる3,4編で構成されていてね。第一章だけは、被害者である安藤加奈目線も。それぞれの心理や思惑も晒されますよ。保身と悪意が絡み合う展開は芦沢さんお手のものですね。小沢早苗さんが特異体質で、事件の第三者でありながらも、重要な役割を果たす事になるのですね。最後は倒叙ミステリーの様相を見せたり、二重三重の罠が仕掛けられたりね。はぁ闘魚(ベタ)で癒されよう。2025/07/11
みも
277
簡明で修飾のない真直な文体。それ故に直截に訴えかける。尚且つ登場人物を4人に絞り、それぞれの視点で心象が描かれており煩雑さがなく明瞭。白眉はスクールカースト形成描写。そのトップに君臨する少女の年齢相応の自己破綻が巧く表現されており、強迫観念に苛まれヒエラルキーにしがみ付く少女の媚びにもリアリティを感じる。他方、言葉の微妙なニュアンスを汲めず、真意を捉えようと懸命にもがくも、周囲にはその行動が理解されずに傷つく、ひたむきで献身的な女性が際立って印象的。彼女の言動・思考の推移が新鮮且つ痛切。#ニコカド20202020/12/07
夢追人009
275
ホラー長編「火のないところに煙は」によって人気沸騰中の女流ミステリ作家・芦沢央さんの映画化されたデビュー作。本書は少女達の陰湿なイジメがテーマのイヤミスですが、確かに悲劇ながらも被害者・加奈がもっとしっかりした人間だったらと悔やまれますし既に手遅れですが非常に残念ですね。父の安藤もまだまだ手ぬるい気がしますね。木場咲は完全な自己中で更生は望めそうになく彼女の役を与えられた女優さんが気の毒ですよね。最後に村田沙耶香のヒロインを思い出させる変人の早苗が最もタフでこの世知辛い世の中で生き残れそうな気がしますね。2019/02/27
さてさて
270
『真理子もいない、加奈もいない。そんな世界にこれ以上いる理由も見出せなかった』。娘の死の真相を究明すべく動き出した父親の聡。この作品には聡、早苗、咲、真帆という生前の加奈が繋がりをもっていた人たちに順番に視点を移すことで、それぞれの内面を鮮やかに描き出す物語が描かれていました。『ベタ』の鮮やかな色彩が物語に独特な色合いを浮かび上がらせるこの作品。早苗という不思議な存在感を持つ人物の登場が物語に摩訶不思議感を醸し出すこの作品。これがデビュー作とはとても思えない圧倒的な読み味に驚かされる素晴らしい作品でした。2026/05/28




