内容説明
伊豆諸島の東端の須栄島。高校生の打保椰々子は島民たちからなぜか“呪われた美少女”として避けられていた。彼女はある日、「災いが来る」という不穏な預言を聞く。それを皮切りに島では謎の怪異が続発することに。客船の沈没、頭部の欠けた死体、老婦夫刺殺事件、人喰い鮫、海から這い出してくる大量の死者…。次々と死人が出る事態に恐れ慄く島民たち。そんななか、椰々子に好意を寄せる同級生の杜弥は、被害者すべてが彼女の関係者だと気づき…。立ちはだかる苛烈な運命を椰々子と杜弥は乗り越えることができるのか!?第21回日本ホラー小説大賞受賞作。
著者等紹介
雪富千晶紀[ユキトミチアキ]
愛知県出身。日本大学生物資源科学部卒業。2014年、「死呪の島」(受賞時タイトルは「死咒の島」)で第21回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
138
青春小説にホラーの要素が少しという感じの前半は、大変読みやすく面白いのですが、後半は、B級映画なみに、内容がガラリと変わって、しかも、読みにくくもなってます。 元々、こう話にしたかったのか、こうなってしまったのか。 残念です。2021/06/11
モルク
78
第21回日本ホラー大賞受賞作品。孤島の須栄島の代々続く旧家白波家の次男杜弥、小さい頃から呪われていると島民から遠ざけられていた椰々子。この二人の淡い恋と、椰々子が死者から受けた予言から始まる数々の怪奇。友人の徹の死、そしてブードゥー教と広がっていく。あやしい行動をとる父と兄、それにすべての根元となる悲しい事実とちょっと盛り込みすぎな気がする。そしてリッチな外国人のクルーザーの話は必要だったのか。いろいろあるけど結構楽しんだのは事実である。2019/11/02
ちーたん
74
★★★☆☆初読み作家さん。第21回日本ホラー小説大賞受賞作。文庫は改題され『死と呪いの島で、ぼくらは』。伊豆諸島付近にある須栄島。島の主の次男・杜弥と村八分の巫女・椰々子。漂着物の到着地・須栄島に水死体が流れ着き椰々子は死体から『災いがくる』と預言。それを機に島で数々の怪奇現象が起こる。これは島への祟りか?はたまた呪いなのか?いろんな要素満載でぶっ飛んだお話なので結構波に乗るまで時間がかかった💦最後に謎がわかるけど勿論ぶっ飛び設定で締め括られる笑。人は選ぶ作品だけどSFホラー好きさんは楽しめそう!2019/12/22
starbro
70
売らんがための賞(直木賞、芥川賞、最近は本屋大賞も)ではなく、純粋に作品に焦点を絞った日本ホラー小説大賞は大変好感が持てます。年によっては、大賞受賞作なしも頻繁におきます。そいうこともあり、大賞受賞作がある場合は、大変楽しみにしています。本作ですが、メジャーデビュー1作目としてはオーソドックスなホラーとして完成度も高く、安心して読めますが、その分インパクトに欠ける気がします。文章もうまいので次回作に期待です。2014/11/14
えみ
66
底気味悪い展開にもほどがある。一体何が起こったのか、島中がカオス状態になっていく様を、自然に受け止めてしまっている己すら薄気味悪い。死者上陸、呪いのある島…得体の知れない、誰かも分からない、生きた死者が紛れ込む島で起こる数々の正体不明の悲劇。信じられない出来事が次々に展開されていくノンストップホラー。強い想いは人を助け、人を殺す。人ならざる者、呪の正体は誰なのか、いや、何から派生したものなのか。絶望の中に希望を探し、悲しみの中に愛を見つける。島民から弾き出されている少女と、島の権力者次男の自由を探す物語。2022/11/16