出版社内容情報
山本 兼一[ヤマモト ケンイチ]
著・文・その他
内容説明
天正10年、甲斐の武田氏を滅ぼし天下統一に王手をかけた織田信長は、正親町帝に大坂遷都を迫った。このまま信長の躍進が続けば、朝廷はどうなることか―不安と忍耐が限界に達した帝は、ついに重大な勅命を下す…。本能寺の変まで、残り38日。日本史上最大の謎を、明智光秀をはじめ、近衛前久、吉田兼和、里村紹巴、徳川家康ら、信長を取り巻く男達の心理戦から炙り出す、著者渾身の歴史巨編。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとなる。99年「弾正の鷹」で小説NON創刊150号記念短編時代小説賞佳作。2004年『火天の城』で第11回松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。14年2月13日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本
150
本能寺の変・朝廷黒幕説。新国家構想を基に朝廷を滅ぼそうという信長に対し旧来の国家像を守ろうとした正親町天皇。朝廷の策略に乗せられて信長を倒すも、勝ちきる事ができなかった光秀。主観が章によって切り替わり、多くの登場人物が登場するので俯瞰的に全体を見ることができる。解説の伊東潤さんもいっているが、〇〇黒幕説という突飛なテーマだが史実の様に感じる程、完成度が高い。著者の他の作品も読んでみよう。2019/06/19
yoshida
126
本能寺の変を朝廷黒幕説として描いた作品。個人的に織田信長が大好きなんですよね。経済の流れを変えた革新性。金銭で兵を雇い常備軍を編成した才覚。旧勢力を力で妥当し新しい価値観を与えた果断性。日本に突然現れた天才と言える。信長はあまりに合理的に過ぎた為に家臣の疑心暗鬼を生み、旧勢力の鵺のような力に討たれたと言えるかも知れない。本作では明智光秀も良いように旧勢力に利用され、信長を討った後に信長の先見性に気付いたりする。歴史にifはないが、信長が天下統一を果たしたら貿易中心に海外進出したであろう。家臣は大変ですね。2015/07/01
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
94
好きな作家の作品ということもあり、とても読みやすく面白かった。本能寺の変を朝廷の黒幕説を軸に、帝、信長、光秀をはじめとした関係者の心理描写をうまく絡めて描いている。『利休にたずねよ』を筆頭に素晴らしい作品を世に出してきた山本さんだが、未読の作品も少なくなってきた。残された作品、大切に読んでいきたいです。2017/10/29
じいじ
81
天下取りを目指す織田信長、その信長の悲願達成を奪ってしまったのが明智光秀。その周知のことを書いた小説は、何冊も読んできたが、今作は間違いなくトップランクに入る面白さだった。主人公の信長をはじめ、明智光秀たち取り巻きの〈人物描写〉が、この作家ならではの味わいです。とりわけ、信長の短気な性格描写は秀逸です。居城を守ることが常識の戦国時代に、居城移転を繰り返した信長。その最期の居城が安土城です。全国の城を見てきた光秀に言わせると「難攻不落」だそうです。信長大好きの私、読み返したい本が一冊増えてしまいました。2025/01/31
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
77
面白い、実に面白い。その結末を誰もが知っている「本能寺の変」、それをここまで読ませるとは。その後の秀吉の中国大返しがあまりにも見事であっただけに、いくつかの「本能寺の変=○○陰謀説」があるが、山本氏の解釈もなるほどなと思わせる。旧態然とした中世の日本を大きく変えようとする信長、その考えについていけず嫌悪感を持つ多くの人々、そして謀反へと向かう明智光秀の苦悩。結果から見れば、歴史の一つの歯車として利用され、見捨てられた光秀が哀れである。★★★★2015/03/03
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