出版社内容情報
真敷市公民館で開かれた奇術ショウ。演目の直後、水田志摩子が姿を消した。自宅で発見された彼女の屍体の周囲には、奇妙な品物の数々が。奇術小説「11枚のとらんぷ」に対応しているという。傑作奇術ミステリ!
内容説明
真敷市立公民館で開かれた奇術ショウ。“袋の中の美女”という演目の直前、袋から出てくるはずの水田志摩子が、姿を消した。「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を遺して―。同時刻、自室で発見された彼女の屍体、その周囲には不可解な品物の数数が。同じ奇術クラブに属する鹿川は、これは自分が書いた小説「11枚のとらんぷ」に対応していると、警察に力説した―。奇術トリックの最高傑作!
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年、東京都生まれ。76年、『DL2号機事件』にて幻影城新人賞佳作入選。家業の紋章上絵師を継ぐかたわら、小説を執筆する。78年、『乱れからくり』にて日本推理作家協会賞、90年、『蔭桔梗』にて直木賞を受賞。奇術家としても高名で、石田天海賞を受賞している。2009年、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
121
この改版の角川文庫がでてすぐ購入してが、積読本になっていた。あの『イニシエーション・ラブ』の映画に、この本の単行本が登場していたので慌てて読んだ。素人マジッククラブのショーが開催されている最中に、その出演者が別の場所で殺される第一部、そのクラブの会員が書いた小説の第二部、そして解決編の第三部と、さすが泡坂妻夫とうなる凝ったつくりの作品だった。第一・二部はどこにミステリのヒントが隠されているのかを気にしながら読んでいても、マジックのネタも気になるという、ミステリとマジックの両方が楽しめる面白い作品だった。2015/06/21
aquamarine
77
奇術とミステリの関係についていろいろなことにハッとさせられます。第一部ではアマチュアマジシャンのマジックショーでのドタバタを楽しみ(途中で殺人事件が起き)、第二部では作中作「11枚のトランプ」で11のマジックを楽しみ、それらが第三部での「世界国際奇術家会議」の一日(殺人の謎解き)へと繋がります。作中作の一話ずつが奇術の種明かしというよりショートミステリして読むことができるのに、第三部になってそれらがそれと気づかせず伏線にもなっていたことに気づいたときはその上手さに感嘆しました。堪能しました。→2015/02/23
papako
73
面白くないわけではないけれど、マジックに興味がない私には面白さ半分かな。マジックの描写は面白いんです。特に作中作の『11枚のトランプ』は、マジックの種を含めて面白い。しかし、マジックにのめり込む人たちが理解できず。動機とかそういうのがね、ふーんてなっちゃいました。亜愛一郎が面白かったので期待したんですが。残念。あ、三角の顔した老婦人、ここでも登場!2017/08/08
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
60
ある劇団の奇術ショウ。飛び出す鳩が死んでいたり、氷酢酸をぶちまけたりと予期せぬハプニングが続くその日、最後の仕掛けから出てくるはずだった女性が出てこない。そしてその女性は、マンションで撲殺させられているのが発見され、その周りには小説「11枚のとらんぷ」に対応する小道具が…。作中作「11枚のとらんぷ」単体としてもかなり楽しめます。奇術の物々しさは特になく、興味を持たせる内容。不器用な私にもやってみたいなぁと思わせます。どこまでも読者を楽しませようとする姿勢、まさしくエンターテイナー。まさしく泡坂さんです。2016/02/17
マコポン
60
泡坂妻夫さん初読みです。カドフェス2014で見つけて購入。30年以上前の作品というのでビックリ。奇術の話は興味があったので、面白く読めた。2014/11/09