出版社内容情報
不動産仲介業を営んでいるヘミング。自分が扱った物件の合鍵を持ち、住人に無断で自由に出入りしていた。町で女性に一目惚れをした彼は、さりげなく彼女の生活へも侵入を試み、ついに殺人を犯してしまう。
内容説明
イギリスの小さな町で不動産仲介業を営んでいるヘミングは、今までに売った家の合い鍵をすべて持ち、家主のいない間に勝手に上がり込み、隠れて彼らを観察することが、日課となっていた。ある日、町で見かけたアビゲイルに一目惚れした。もっと知りたいと、彼女の家の鍵を手に入れるため、行動を起こそうとするが、ついに一線をこえてしまい、殺人を犯すまでに。じわじわと恐怖が這い上がる、戦慄のサイコサスペンス。
著者等紹介
ホーガン,フィル[ホーガン,フィル] [Hogan,Phil]
イギリス北部の小さな製材の町に生まれ、現在は南部の小さなベッドタウンに住んでいる。既婚で4人の子どもがいて、25年間ジャーナリストをしてきた
羽田詩津子[ハタシズコ]
翻訳家。お茶の水女子大学英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けいちゃっぷ
17
イヤミスかどうかは分からないが、読み終えたら主人公が実にイヤな奴でした。 不動産業を営んでいて、売買や賃貸に関わった物件の合鍵をすべて持ち、家人が不在時に侵入。 ストーカーや覗きをする訳でなく、なんというかその家の生活臭を味わう。 たまにイヤな目に遭うと仕返しをする。 ところが、ある女性に一目ぼれした時から、すべてがおかしな方向へ・・・。 いくら男が自己弁護しようと、こいつには関わりたくないね。 406ページ 2017/05/19
ワラスボン
9
不動産業を営む主人公へミングは変わった趣味を持っている。すべての家の鍵を持っていて、留守の間に忍びこむ。ストーカーや窃盗をするわけでもなく、ただその家の生活臭を感じたい。へミングの淡々とした語りで物語は進み、彼の過去を知り、やがて犯罪に手を染める。読み終える頃にはへミングの気持ち、わからなくもない。ひとりが好きだけど、孤独は嫌いということかな。私も一時期「家、ついて行っていいですか?」てテレビ番組にハマってた。大矢博子さんの解説もよかった。ちょっと地味で静かな物語だけど、好みでした。★★★☆☆2025/02/24
コムギ先輩
8
折原一賞ということで手に取りました。個人的には折原さんチョイス好きです。実は折原さんの本を読んだことがないので、こちらも読まないと。2017/10/20
Coders
5
じんわりとおもしろくなっていく本。趣味と実益を兼ねたビジネスが成功し その生活を維持するためには、犯罪も厭わない。基本的は犯罪者なのだが何故だか語り口がうまく、なんとなくその犯罪行為を受け入れてしまう。 終いにはその趣味もちょっとわかるような気がする。2017/02/13
J.T.
3
独特な言い回しの文章のせいか、主人公に共感、理解することは難しかった。携帯電話などでてくるが、だいたいいつころの話なのかわからないのも、なんとなく無機質で感情に乏しい世界に一役かっているのかもしれないと思った。そういうあやふやで、共感や同情を誘わないところが、奇妙な魅力にもなっていて、退屈だとは言い切れない部分がある小説だった。2021/05/05