内容説明
某企業の取締役・早坂には、秘密がある。5年前、N電工から3億円を盗んだ犯人の1人だった。5人の共犯者は、見知らぬ他人同士になるという誓いのもと、自分の生活に戻ったため、未だに警察の手は届いていない。ある日、早坂の会社の前で、バイク事故が起きた。その被害者は、早坂と一緒に3億円を盗んだ男だった。関係を絶ったはずの人物と、もう一度関わり合いになるとは…。人の心の闇を描き出す、社会派ミステリ。
著者等紹介
赤川次郎[アカガワジロウ]
1948年、福岡県生まれ。76年、「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。2006年、第9回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco夏ko10角
29
3億円を盗んで山分けした5人の男女、その5年後のお話。他人になったはずの5人が少しずつ繋がっていって事件が起きたり恋愛でごたごたしたり。大金を盗むまで、やその直後ではなく、そこから5年たってからの物語なのが面白かった。2016/04/28
マッツ
25
たくさんの登場人物が出てきて、大どんでん返し。 3億円事件をかぶりながら楽しく一気読みしました。2015/03/02
Heart
21
10代の頃から大好きな赤川次郎さん、25作目。(’-’*)♪読みやすい文章で、ミステリーが苦手な私でもサクサク読めて楽しませてもらいました。(’-’*)♪『他人だから、人は絆を求めるんですよ。』ラストのセリフが印象的。ラストにかけて一気に話が展開して慌ただしかったけれど面白かった。(*´ー`*)2015/10/21
ノンケ女医長
18
作品の序盤は、とても良かった。どう展開していくんだろうと読み続けたが、心が作品から離れる一方だった。簡単に、人が人と繋がり、そしてあまりにも呆気なく去って行く。絆がテーマであるようだが、繋がりはとても淡い。登場人物が無目的に動いているように感じられた。感情が動くことも少なく、かなり残念。病院で人が落命する記述は、医療人からすると非現実的で、描写は甘いとしか言いようがない。ページ数の多さに対して、流麗さをもっと感じたかった。主人公の行く末を案じることもなく、読み切った。2022/11/27
ゆきまる
14
ひょんなことから三億円を盗んだ男女五人。その件を境に決別した彼らだが、不思議な巡り合わせで再会してしまう——本書は数ページごとに区切られる、数十の章で構成されており、隙間時間で手軽に読めるのが良い。次々と人物が登場していくので、はじめは混乱しそうになったが、人物の関係が分かってくると、物語の進展にページを捲る手が止まらなくなる。三億円事件の五人をはじめとし、多くの人と事件が交錯するのだが、その殆どに絡んでくる早坂と秘書の落合が善人かつ有能かつ頑強すぎる。しかし、元凶は早坂の復讐と考えると皮肉な話である。2015/12/11