内容説明
傷つきながらも、師である雲斎のもとに帰り着いた大鳳。彼を追ってやってきた典善の前に、雲斎が立ちはだかる。一方、九十九はキマイラ制御の鍵「ソーマ」から薬を作る法を求め、高野山に向かっていた。そして、ついに身体をキマイラに乗っ取られた久鬼。もはや意志の力もソーマすらも利かなくなってしまった久鬼に、謎の僧・狂仏はキマイラを支配する法を教えるという。9番目の、月のチャクラとはいったい―!?
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
40
角川版キマイラ十巻。彷徨のすえ傷つきながらもようやく円空山へと帰ってきた大鳳。疲れ果て眠り続ける大鳳をとりまくひとびとはキマイラ化に対する方法を探しはじめる。『よくできました』。序章を雲斎と典膳の対峙からはじめる構成にキレがある。眠りから覚醒へと向かう大鳳、道灌とともにソーマの手がかりを求め高野山へ入る九十九、久鬼邸に囚われた巫炎に向き合う班孟のみっつを主な軸に物語が展開するが、なかでも今回は班孟が重要な役割を果たしつつ、大きな決断へと踏み出す。2015/03/08
木村 武史
18
面白かった、斑猛がドロップアウト。ソーマの秘密を知る「雪蓮の一族」の手掛かりを探るため道灌と九十九は吐月を探しに。そんな内容。なかなか進まない。場面転換が多いわりに情景の説明から入るので、ストーリー自体が進まないのだ。狂仏(ニョンパ)や雪蓮の一族のような新たなキーワードが出てきたらもっと展開があってもいいのでは・・・。次巻へ2021/05/20
ぎん
9
やはり一気に展開するわけはなく、ジワジワと物語が進んでいく。退屈さは微塵も感じないけど焦れったい。典善も玄造も完全に悪人ではない部分が垣間見えた。2015/01/30
papaya_n
7
天野さんの装丁に慣れ親しんで来たオールドファンとしては、登場人物紹介のキャラクターイラストに違和感を感じざるを得ないものの、若かりし頃に一度は読んだ筈の傑作を大人になって改めて“新作を読むが如く”読めると言うのは、やはり楽しくもあり嬉しくもある。 さて、本編はいよいよキマイラ化の核心に触れつつあるものの、まだまだここから様々な展開が待っている筈だ。 今後も新作を待つような気持ちで続刊を待ちたい。2015/01/01
爺
6
天のチャクラまで、ようやく到達。もう少し進むと、そこから過去編に突入してしまうが、そこらまでが既読。未読部分に入るのはかなり先になりそうだ。ともあれ、20年来の愛読シリーズが完結に向けて動いているというのは嬉しいもの。獏さん、キマイラに決着をつけたら、次は「黄金宮」も是非お願いします! 智恵子抄を口ずさむエロ大王・地虫平八郎に再会したい!2014/12/29