内容説明
怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊―。不安でも嫌悪でも驚きでも不思議でもなく、純粋な怖いものを。恐怖に似たものではない、真実の“こわいもの”を知るという屋敷の老人が、男にさし示したものとは。「こわいもの」を含む、妖しく美しい、幽き8つの物語を収録。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
小説家、意匠家。1963年北海道生まれ。94年、かねてよりアイデアを温めていた妖怪小説『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第130回直木賞、『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
81
文庫で再読です。妖しくも美しい8つの物語が詰まっていました。怖いというより、不気味といった方がしっくりくる物語の数々。幽かな霊が見せる絵画には思わず鳥肌が立たずにはいられません。夏の暑い日にゆっくり味わいたい1冊ですね。2018/08/02
勇波
62
どの話も「こわい」というよりなんだか切なくて、悲しい話に思えた。「厭な」話とはまた趣きが違っていて面白かった。なかでも「下の人」がお気に入り★2014/05/21
Yuna Ioki☆
49
744-353-10 京極夏彦版「世にも奇妙な物語」といった感じ。スッキリ派の方にはあまりオススメできないかもしれない。2014/11/06
林 一歩
42
視点を少しずらすと普段見ているものが異なって見える居心地悪さ。この短編集に収められている作品はそんな感触のものばかり。純然たる恐怖は感じないが、居心地が極めて悪い。2014/01/12
ミエル
41
冥談が怪談の一歩手前とするとこちらは幻想小説になるのだろうか?怖いというよりも眩暈を起こすちょっと手前の歪んだ世界に似ているような気がした。印象的だったのが「成人」イニシャルという匿名性を使うだけで、あたかも事実のような気がしてくる不思議、確かに言われてみれば…という感覚。2015/08/27