出版社内容情報
宇江佐 真理[ウエザ マリ]
著・文・その他
内容説明
平凡な25歳のサラリーマン、大森連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村―!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自らの運命を切り拓いてゆく―。感動の長編時代小説!
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年、函館市生まれ。函館大谷女子短大卒業。95年、「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2000年、『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年には『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
96
平凡なサラリーマンの大森連は、ツーリングの途中で気を失い気が付くとそこは天明6年の武蔵国中郡青畑村だった。タイムスリップで、江戸時代に迷い込んだ彼は、時次郎とさな妹に助けられ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困に苦しむ人々とその困難に立ち向かい、1年半過ごすことになる。宇江佐真理の異色の時代小説ではあるが、現代と江戸という視点で描かれており、いつもの作品とは違った面白さがある。最後の展開や落ちもほのぼのさせるものになっており、楽しむことが出来た。 2021/11/21
じいじ
82
宇江佐真理は66作目ですが、初めての感触です。読みはじめてすぐに、主人公・連が自転車に跨って…これは宇江佐さんの「現代モノ」なのかと吃驚しました。そして、連は念願のマウンテン・バイクを買って遠乗りに…、小仏峠の沢で転落。ここから物語は…江戸時代にタイムスリップして、宇江佐真理の本来の世界に突入します。この一冊は、あなたは「江戸時代」と「現代社会」どちらが住みやすいと思います? と、天国から宇江佐さんに、問われている気がしました。宇江佐小説には、ハズレがありませんでした、これも面白く読了です。2025/04/16
ぶんこ
76
現代の営業マン連25歳が、天明の飢饉の江戸は青畑村へタイムスリップしてしまう。 意識を失っているところを助けてくれたのが時次郎とさなの兄妹。 時々は素性を怪しまれながらも、学生時代の日本史の知識と、部活で身につけたマッサージの腕で危機を乗り越えます。 一芸に秀でていると身を助けるって本当ですね。 思わず私だったらと考えてしまい、何にもない。 かなり考えましたが何も無し。 宇江佐さんにしては異質な設定でしたが楽しめました。 ひとつだけ共感できなかったのが太助の処遇。 さなさんの気持ちを思うと哀しいです。2015/11/25
goro@the_booby
65
江戸時代へタイムスリップし悪戦苦闘。光瀬龍「夕映え作戦」や石川英輔「大江戸神仙伝シリーズ」など思い出すなぁ。主人公の青年蓮は生きてゆくため百姓になるのだが厳しい現実が待っている。現代人は何も出来ないね。地に足着けて感謝しながら生きなきゃならんわと思っても既に人生下り坂。今度また小仏峠に行くときはしっかり足元見て登ろうかね。2017/09/29
shizuka
59
タイムスリップ時代劇。いつもの宇江佐さんの方が好み。SFにしては軽めだし、SF色出すために真打ち時代話も中途半端になってしまっているし。現代で得た知識を利用して重宝されるのはまあいいけれど、そういうのも突き詰めていくとパラドックスにならないのかな。最後、現代において江戸時代で添い遂げられなかった娘(と酷似した女性)と出会い、江戸へ行った意味を見つけた!となったけど、、どうやって子孫が生まれたのか若干気になる。本人は死んでしまったし、兄とは血の繋がりないし、両親もいないし。おかしいな。どこか読み落したかな。2017/03/02