出版社内容情報
舞姫としての名声を捨てたフミは、初恋の人・建明を追いかけて満州の荒野にたどりつく。馬賊の頭目である建明や、彼の弟分・炎林との微妙な関係に揺れながらも、新しい人生を歩みはじめるフミだったが……。
内容説明
大陸一の舞姫・芙蓉の名を捨て、パトロンである黒谷の前からも姿を消したフミ。単身向かった涯の地で、彼女は初恋の人―かつて山村という名で出会った胡子(馬賊)の頭領・楊建明と再会する。舞姫だったころのように、誰かの“夢の女”となって生きるのではなく、馬に跨がり銃を手に、自ら夢を切り拓きたい。強い意思を漲らせるフミは、やがて建明の妻として、また胡子の仲間のひとりとして、結束の固い兄弟分たちに認められてゆくが…。
著者等紹介
須賀しのぶ[スガシノブ]
上智大学文学部史学科卒業。1994年「惑星童話」でコバルト・ノベル大賞読者大賞受賞。以後コバルト文庫を中心に活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむれ
82
馬賊!馬賊!馬賊ー!で興奮しきりの第三巻。疾走感爽快感抜群で馬で駆けるように読了。相変わらず誰よりも男前な芙美にあっぱれ。地名が混乱して、地図を眺めてびっくり。アジアの広さよ…ほんとに「芙蓉千里」になってきた感じ!ショールガと星の下を駆けるシーン、とても美しかったです。うっとり。しかし、建明ね…ダメでしょ。絶対惚れちゃいけない部類の人間な予感しかしない。炎林と芙美で三人?!デリカシー持たんかい!でも、ウジウジ悩まずに啖呵を切ってポーンと飛び越える芙美だから、何とかなると信じてるよ涙! 2015/09/08
のぶ
65
第2巻まで舞踊にのめり込んで邁進してきたフミだったが、この巻に来て話はサイドチェンジした。かつての初恋の人、楊健明と再会する。彼は馬賊の頭領となっていて、彼の生き方に共感したフミは、楊健明と結婚し馬賊の妻として新しい生活を始める。今までの流れからしてこの展開は意外に感じたが、これは本筋のサイドストーリー的な展開のような印象だ。パトロンの黒谷もほとんど登場せず、このままでは終わらないような気がするが、この先物語はどう収束するのか?最終巻を楽しみたい。2017/05/04
hrmt
40
建明(山村)を追って馬賊の一員となり、その結束固い仲間たちに徐々に認められていくフミ。ひたすらフミが潔くカッコ良い巻でした♪逆に建明の狡さや無神経さに腹立たしさが増し、黒谷さんの諦めない頑張りを応援したくなる巻でもありました。作中梅香が語った「恋は幸せになるためのものじゃない。その人がいない人生を歩むぐらいなら、彼と一緒に不幸になりたいと願う理不尽を恋と呼ぶのよ」に、オバさんは遠い昔の恋を思い返したりしたのでした(*^_^*)2017/03/24
りー
27
うわあ~💦近代史、分かんないーー!😱と、悲鳴をあげながら読んだ。馬族とか、モンゴル独立と共産化、陸軍の独走…頭がついていかない。えー。そんな中でも元気な主人公=フミちゃん。ついに疾走する馬に乗りながら銃を扱うところまで来てしまった。もぅ、1巻~2巻半分までとは全く異なる活劇の世界。それもアジアの大草原を駆け巡っている。どんどん山村がどうしようもない悪い男になっていく(両刀だし!)。黒谷はまだフミを諦めていないけれど、どうなるのか。2021/05/09
豆乳くま
25
芙蓉を捨て馬賊になったフミの波乱の章。体一つで大陸一の女郎目指してやって来た時と同じだ。山村こと楊健明について行くと決めたフミ、認めさせたフミ。フミの本気にドン引きした健明。男ってイヤになっちゃうよ〜。女は決心したら強いんだ。裏切り者の梅香の「恋って幸せになるためのものじゃない、その人がいない人生なら彼と一緒に不幸になりたいと願う理不尽」!その梅香を殺すため本物の馬賊になったフミの馬賊アクションが最大の見所。本当にわくわくした。2013/08/29