出版社内容情報
清冽にして剛健。「戦国の梟雄」の定説をくつがえす、まったく新しい北条早雲、ここに見参。弱冠21歳での駿河下向から小田原城の奪取まで──。波瀾万丈な青春の日々をえがいた、怒濤の傑作歴史長編。
内容説明
時は文明8年(1476)8月。京から駿河に向け馬を駆る、虎雲の如き若武者がいた。その人こそ若き日の北条早雲―伊勢新九郎盛時。名門・伊勢家に生まれた盛時は、弱冠21歳で今川家の家督争いを収めるため、駿府に下向する。管領職・細川政元の信任あつい盛時は、やがて否応なく苛烈な政争へと身を投じていく―。幕府申次衆への就任、伊豆討伐、そして小田原城の奪取まで。“乱世の梟雄”の早雲像を覆す、傑作歴史長編。
著者等紹介
海道龍一朗[カイトウリュウイチロウ]
1959年生まれ。2003年に『真剣』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YONDA
11
若き盛時が早雲と名乗るまでのお話。海道氏は「北條龍虎伝」や「天佑、我にあり」でもそうであったが、合戦の書き方が非常に上手い。弟・弥次郎と山中氏頼が山内上杉家と戦う場面や、その戦いに援軍として現れる盛時の馬上の姿はとても鮮明に脳内映像が映し出される。「早雲立国伝」がいち早く発刊されることを願っています。解説を伊東潤氏が書いているのには驚きました。2017/04/05
sin
5
素浪人からの下剋上でのし上がった斉藤道三のようなイメージだった早雲が実は違っていた。近年の研究により、京の政所奉行職で、管領の細川政元との繋がり、駿河の今川、伊豆への関わり方、なるほどなこれなら伊豆の守護職から小田原へと躍進したのが納得できる。若い頃の禅寺での修行がきめ細かく書かれていて興味深かった。後半はストーリー展開もスピードアップ。とても面白かった。2014/10/09
綱成
4
再読です。真っ直ぐで素直な人格で描かれ、失敗し反省、そして前に進む強さを持つ早雲です。複雑な政争から始まり、武将と変わるストーリーも面白いですが、禅寺での修行、作法が詳しく書いてあり、様子が目に浮かぶほどです。何回よんでも面白いです。2015/01/22
マシンガン
4
新しく有力な学説の示す早雲像が、海道の筆によって瑞々しく躍動する。前半の、どこか凡庸で他動的な主人公も興味深かったが、強い意志に衝き動かされて信念を貫こうと立つ、後半の主人公像の伏線になっていてどちらも読み応えがある。筆者お得意の合戦シーンは言うに及ばず、寺での修行シーンも丹念に描かれているのも新鮮だ。2014/10/27
春風
3
単行本時代から、読みたい読みたいと思っていつつ、契機を逸していましたが、この文庫化を機に読破しました。冒頭部分は時代背景の描写のため、衒学的であり、冗長に感じますが、中盤より筆致が一気に加速します。登場人物はみな侠気に溢れ、これによりクライマックスの合戦シーンは、恐ろしいほどの臨場感を呈し、こっちが武者振るいを起こしそうな程でした。最後に、一つだけ難癖をつけさせて頂けるのであれば、政元は楽天家過ぎやしないか!?と。盛時との対比で致し方ないの...か?2013/09/14