出版社内容情報
急逝した盲目の老富豪の遺言状が消えた。捜査の甲斐なく一向に見つからず、大学を卒業したてのエラリーは棺を掘り返すことを主張する。だがそこから出たのは第二の死体で……。二転三転する事件の真相とは!
内容説明
盲目の大富豪・ハルキス氏の死が全てのはじまりだった―。葬儀は厳かに進行し、遺体は墓地の地下埋葬室に安置された。だが直後、壁金庫から氏の遺言状が消えていることが発覚する。警察の捜索の甲斐なく、手掛かりさえも見つからない中、大学を卒業してまもないエラリーは、棺を掘り返すよう提案する。しかし、そこから出たのは第二の死体で…。天才的犯人との息づまる頭脳戦!最高傑作の誉れ高い“国名シリーズ”第4弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
252
★★★★☆ 本作はエラリーが新人探偵の頃の話。 エラリーが若気の至りで誤った推理をしてしまうのは中々の見どころ。ちなみにこの時点で私もほぼ同じ誤りをしていた。 その後反省して真犯人を突き止めるエラリーに対して、私の方は更に二重の誤りを犯してしまう体たらく笑 クイーン作品の中でも最大のボリュームであり、やや冗長に感じる部分もあったが、その分じっくりとエラリーの推理を楽しむことができたと言える。 クイーン警視とサンプソンが最初に比べてものすごく無能になってる気がするのは気のせい?2020/04/22
麦ちゃんの下僕
133
クイーンの「国名シリーズ」は、10代で『オランダ靴』『ギリシャ棺』『エジプト十字架』の抄訳版を、20代(?)で創元版を全作読んだんですが、話の大筋から犯人まではっきり記憶しているのは『オランダ靴』&『エジプト十字架』のみ…傑作と名高い『ギリシャ棺』をなぜ覚えていないんだろうと思い、今回は角川版を。登場人物表で犯人は思い出したんですが…なるほど、このボリュームと“多重推理”に若き日の僕はついていけなかったんですね(笑) 今ならエラリーの論理も理解できますし…何よりこの“フーダニット”はハイレベル過ぎます!!2024/06/06
W-G
110
とっておきの名作をついに読了。新訳版は過去に読んだハヤカワ版の何冊かよりとにかく読みやすくて、特にギリシャは読みやすかった。解決編のロジックは前3作の方が分かりやすいかっこよさがあるかも。しかし面白さは圧倒的。犯人の意外性も良かった。お腹いっぱいですよね2016/03/26
やきいも
98
『エジプト十字架の秘密』と並ぶエラリー・クイーンのミステリー・国名シリーズの人気作品。派手な連続殺人も不思議な密室もでてこないので『エジプト~』に比べたら序盤はやや退屈。しかし、国名シリーズの中では一番「意外な犯人」がでてきます!もう1つの魅力は、エラリ-が犯人を推理すると、それをあざ笑うかのように新たな犯人候補が次々にあらわれ、真相になかなかたどりつけないところ。読者はエラリ-の推理をたっぷり堪能できます。ハラハラする展開はないけど、探偵が論理的に謎を解く過程をじっくり楽しみたい方におすすめです。2015/10/02
NAO
84
盲目のギリシャ人大富豪ハルキス氏が亡くなり、一族の地下墓地に埋葬された。金庫の中にあったはずの遺言書を入れた手提げ金庫が失くなっており、父の警視とともに捜査にきたエラリーが金庫がある場所は、ハルキス氏の棺の中しか考えられないというのでハルキス氏の棺を開けてみると、なんと、ハルキス氏の遺体の上に別の死体が。大学を卒業したばかりのまだ若いエラリーは、自信家で、そのためか犯人の策略にまんまとはまってしまうのだが、もちろんやられっぱなしではいない。エラリーの推理力だけでなく初々しさも楽しめる作品。2020/07/01