出版社内容情報
死ぬことだけ考えて生きている、うつの男。死に場所と決めた廃屋で見つけたのは朽ちる寸前の手紙の束。男は放置された7通を郵便局員に代り配達することにした。すべて届けたら自殺してラクになる、そう決意して……
内容説明
感情を喪失したうつ病の澤野は、ある日、死に場所として入った廃墟で、偶然手紙の束を見つける。それは昔郵便局員に破棄されたものだった。「この7通の手紙は、さようならへのカウント・ダウンだ。すべてを配達し終えたら肚をくくろう」彼は死とその痛みを先延ばしするため、7年前の手紙の配達を始める。そしてそこに込められた悲喜劇に遭遇し、久しぶりに心の揺らぎを感じるが…。神経症の時代に贈る、愛と希望の物語。
著者等紹介
一色伸幸[イッシキノブユキ]
脚本家。1960年、東京都生まれ。82年に「火曜サスペンス劇場・松本清張の脊梁」でデビュー後、映画、テレビ、アニメ、舞台、ゲームなど数々の人気脚本、まんが原作を手がける。90年「病院へ行こう」、93年「僕らはみんな生きている」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
134
最近、目立つ帯で書店に平積みされているのを見かけ、手にとりました。自らも鬱を患ったコトのある作者さんがうつ病の主人公を果たしてどう綴るのか、興味深々でした。ひょんなコトから7年前に配達されなかった7通の手紙を配達するコトになった主人公「始」は配達先で、色んな人々に出会い、それぞれの場面で生きるコトについて考えさせられます。そんな流れで、僅かながらも少しずつ'自分'を取り戻していくのですが、展開は思わぬ方向へ…。決してお世辞にも明るい話とは言えず、常に'死'を意識している主人公がとてもツラく見えました。2018/11/07
shizuka
57
七年前に捨てられた七通の手紙を偶然見つけ、死ぬ前に配達してみようといたずら心から、自ら閉ざしていた殻を少しずつ破ってなんとなく前進していく鬱病の青年。突然現れ、七年前の手紙を差し出す。困る者、喜ぶ者、怒る者、対応は様々。七年前に手紙を受け取っていたらどうだったんだろう。人生変わっていたのだろうか。少し選択肢が増えるだけで、結局は変わらない着地点に落ち着いてしまう気がする。青年の感情はいつもドライ。それが安易なお涙頂戴になるのを抑制していて、よかった。みんなわがまま。わがままを支え合って生きている。2016/03/17
mintia
23
7年前に配達されなかった7通の手紙。うつ病の澤野がその配達をするのだが、7年もの間に色々なストーリーがあった。2019/02/13
ユズル
21
最近、地元の郵便局員がこの事件を起こして捕まったのを思い出しました。7年前の手紙。私なら要らないなあ、時は戻せないもの。最後に救いのあるような感じで書かれていた割りには、なんか想像していた終わり方ではなかったのは、筆者自身もうつを経験しているからかなあと思いました。世の中そんなに都合良くいかないぞと…2018/09/21
糜竺(びじく)
20
うつ病の主人公が棄てられてた7年前の7通の手紙を配り歩き、その後、自殺しようと考えている内容。2024/03/30