内容説明
からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。野原で半分植物のような姿になってまどろみつづける元海賊。果実のような頭部を持つ人間が住む町。十字路にたつピンクの廟に祀られた魔神に、呪われた少年。魔法が当たり前に存在する土地でタカシが目にしたものは―。時間と空間を軽々と飛び越え、変幻自在の文体で語られる色鮮やかな悪夢の世界。
著者等紹介
恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京生まれ。2005年、「夜市」で第12回日本ホラー小説大賞を受賞。初の作品集『夜市』は、デビュー作にして第134回直木賞の候補作となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
射手座の天使あきちゃん
205
些少ホラー・大盛ファンタジー短編集です。 恒川さんはやっぱり日本の晩秋の夕闇の物語がぴったり来ますね。 なんか舞台が南国だけにハメハメハ大王のメロディーがリフレインして今ひとつ気分が乗りませんでした。<(^_^; 「夜の果樹園」は、恒川さん得意の「怪しい人ならぬもの」と言うよりは完全に「ゾンビ」でした。残念!(笑)2018/09/21
しんたろー
203
恒川さん4冊目。今回は以前読んだパラレルワールド系ではなく、島が舞台のファンタジーで、呪術師・ユナが少しずつ絡んだ関連性のある短編集。夢ある話やゾッとする話など、バラエティに富んだ食材に恒川さんの腕とスパイスが程好く効いて、美味しいエスニック料理を食べた感じ。残念ながら『夜市』のような衝撃はなかったが、類まれなるストーリーテリングは健在で、質の高い「大人の童話」を読んだ気分。特に神話のような『紫焔樹の島』と『雲の眠る海』、怪談のような『蛸漁師』と『夜の果樹園』は好みだった。異世界へ行きたい人にオススメ。2017/10/26
おしゃべりメガネ
200
名作『夜市』の世界観をそのままに、微妙につながりを保ちつつ展開する連作集でした。本当に文章が読みやすく、無駄な言葉や文字を完全に削り取った作風にひたすら感嘆してしまいます。恒川さんの描く作品は、本当にどこまでもアートで視覚のみならず、聴覚や嗅覚までもが刺激させそうな作品が少なくありません。こんなにもハズレがない作家さんは他にはなかなかいないのでは。基本的にどの作品もスタートから目が離せなくなり、アッという間にココロを奪われます。本作は短めに構成され、かつしっかりとまとめあげているところが、素晴らしいです。2013/07/06
yoshida
175
一家心中を図っていた夫婦と子のタカシ。彼等はユナと名乗る呪術師と出会い、異国の島でそれぞれが別れて暮らし始める。島では時空を超えて、様々な出来事が起こる。恒川恒太郎さんの作品なので、着想や展開に驚かされ安定感のある作品となっている。特に終章は印象的だった。ただ各章ごとの繋がりが薄く、特にメッセージ性が希薄となり何を伝えたかったのが私には理解できていなかった。勿論、作品としては面白いのだが、恒川恒太郎さんの作品として期待値が上がってしまうので、やや物足りない読後感ではある。辛口の感想だが楽しめる作品です。2019/02/23
nanasi
171
カバーデザインは鈴木 久美さんです。三浦 天紗子さんが解説をしています。個人的には怖いとは感じず、ホラーというよりはファンタジーでした。「紫焔樹の島」が一番好きです。2013/09/25
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