出版社内容情報
「鬼平」外伝ともいうべき江戸捕物帳、待望の新装改版!
火付盗賊改方の頭に就任したばかりの長谷川平蔵は、迷うことなく捕らえた強盗団に断罪を下した! 「鬼平」外伝ともいうべきロングセラー捕物帳全12編が、読みやすい新装改版で登場。巻末解説は山本一力氏。
内容説明
ふた月前の夜、池ノ端仲町の日野屋に賊が押し入り、金を奪って逃げた。あるじ久次郎は奉行所に届け出たが、恋女房のおきぬが犯されたことは隠していた。もう忘れようと夫婦が互いにいたわりあっていた矢先、再び同じ賊が日野屋に押し入る…。火付盗賊改方の頭に就任した長谷川平蔵は、神出鬼没の盗賊団捕縛を命じられ、正念場を迎える。「江戸怪盗記」をはじめ、人の世の哀感を滲ませる、「鬼平」の原点ともいうべき傑作捕物帳。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年東京浅草生まれ。下谷西町小学校卒業後、株式仲買店に勤め、海軍入隊。戦後、都職員から長谷川伸門下生となり新国劇の脚本と小説を発表。60年「錯乱」で直木賞受賞。77年、吉川英治文学賞受賞。90年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
117
面白かったです。ピカレスク時代小説なので、出てくるのは悪人ばかりなのですが、その生き様や死に様、成功と破滅が鮮やかに描かれていると思いました。世の中の裏で生きているような人々なのに憎めない魅力を描き出すのにしびれます。鬼平の原点のようなので、いつか鬼平を読みたいですね。2017/02/03
優希
55
再読です。安定した面白さがありますね。出てくるのは悪人ばかりですが、生き様や死に様、成功と破滅の描き方があざやかで、魅力的です。世の裏に生きているような人々なのに何故か惹かれました。2023/03/06
はつばあば
42
善人がふとしたきっかけで悪に手を染める。反対に悪人が仏心をおこし情けをかける。う~んあの世の閻魔さんはどんな判定を下すのだろう。女でもおまゆのような気風もよく心の深い豪傑のような女性もいれば・・おしろい猫のお長のような怖い女もいる。昔は氏より育ちと言いました。やっぱり今でも愛情深く育てられたら曲がったことはしない・・かな?。この世に貧困が無くならない限り・・貧富の差がある限りどこかで外道仕事に手を出す者が出るでしょうが、大きな怪盗に、畳の上で死ねる怪盗になれと、鬼平は・・言ったか言わないか(#^^#)。2022/05/30
外枠発走
32
江戸時代、世間を騒がせた盗賊たちの物語。12編をおさめている。一話が30ページ程度で読みやすい。魅力的な悪い奴らがたくさん登場する。鬼平犯科帳の火付盗賊改方が活躍する場面もあるが、盗賊たちの鮮やかな手口が勝っている印象。江戸周辺の文化や風習を理解する材料としてもおすすめしたい。武士道を扱った作品は、魅力的だが重い作品が多い。盗賊たちが、最も自由に時代を生き抜いていて、痛快さすら感じる作品が見受けられた。先日読み終えた藤枝梅安シリーズと合わせ、江戸の悪い奴らを書かせたら、著者の右に出る者はいないと感じた。2024/03/30
出世八五郎
24
ピカレスク=悪漢=悪い事をする男。ならず者。わるもの。…全12編の短編集。連作短編ではないけれど、途中3話ほど登場人物が被る御話がある。鬼平犯科帳は1967年から連載開始。オール讀物1967年12月号「浅草・御厩河岸」に長谷川平蔵が登場する単発物として発表。題名:鬼平犯科帳となったのは1968年1月号掲載「唖の十蔵」から。本作品は全て鬼平犯科帳連載前の作品。長谷川平蔵は1~2話(タヒ棒)に登場するのみだが、全て既に鬼平犯科帳な雰囲気を出している。それはピカレスクだからか…。2023/12/21