出版社内容情報
読む者をむせび泣かす、とてつもなく怖いお伽噺。日本ホラー小説大賞受賞作
繭煮でむせ返る製糸工場。故郷に残した家族のため、恥辱に耐えながら、健気に奮闘する少女たち。今宵、無垢な少女たちの園がじわりじわりと犯される……。
内容説明
家計を助けるため12歳で製糸工場に働きに出ることになった少女・お初。被傭期間は3年。期間中は会社の命令に逆らうことはできない。身体検査や全裸になっての虫干しから始まった奇妙な工女生活は、予想に反し快適だったが、それもつかの間、次第に逃れられない恐怖の惨劇に変貌してゆく…。煮繭の臭いでむせ返る製糸工場にうごめく淫靡な恐怖を描く、とてつもなく怖いお伽噺。選考委員をうならせたホラー小説大賞受賞作。
著者等紹介
一路晃司[イチロコウジ]
北海道北見市生まれ。東京農業大学、畜産会社を経てオーストラリアのクイーンズランド・カレッジ・オブ・アート映画テレビ学科(現・グリフィス映画学校映画テレビ学科)に入学。卒業後、2010年『お初の繭』にて、第17回日本ホラー小説大賞・大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まるる
52
ホラー大賞受賞作ってことで読んでみた。ストーリー的には新しさを感じなかったけど、日本昔し話のような語り口が独特な世界観を醸し出しているのがいい。普段だったら顔をしかめるような固有名詞も、思わず本を閉じたくなるようなグロテスクなシーンもお伽話効果で読めてしまう不思議。 しかしなんといっても怖いのは生活苦の為に子供を売る親だ。親は子供を金に替える。子供はそれを親孝行だと思って健気に働く。女郎から女工に変わっただけ。そんな時代には二度と戻って欲しくないですね。 2013/05/02
スカラベ
28
第17回ホラー小説大賞。戦前の山奥の村における女工哀史だけど、異聞奇譚という雰囲気で奇妙な怖さが漂う物語。製糸工場で行われる作業は何とも淫靡でおどろおどろしいはずなのに、文体のせいなのかこれが強烈には伝わってこないのが不思議。また、もっといろいろな出来事やどんでん返しが起こると思いきや、そういったものもなく、淡々と進んで終わってしまった感あり。初めの方で結末が想像できるし、その最終の展開に行くまでが長くちょっとだれてしまった。ただ、主人公の少女たちの健気さや襲い来る悲劇についての切なさは伝わってきました。2013/12/08
あも
27
第17回日本ホラー小説大賞受賞作。『あゝ野麦峠』を彷彿とさせる時代設定。故郷の家族のため製糸工場で働く少女達。中盤までは過酷な労働環境の中でけなげに頑張る少女達の青春…というか要するに野麦峠の劣化コピーのような描写がだらだら続く。ホラー大賞らしい展開に移行するのが遅いし、いざ移ってみるとまあ、何というか何じゃそりゃな、こんなもんに大賞与えるなよと言いたくなる1冊。エロ描写もグロ描写もあるにはあるが著者の熱い思いが伝わってこず薄っぺらい。何より登場人物の名前が寒い下ネタダジャレで溜息も出ないぐらいうんざり。2013/04/29
F
25
ほのぼのとした語り口の女工哀史かと思いきや一変、弩級の基地外っぷり。開き直った悪趣味がいっそ清々しいほどである。単調なストーリー、明治期をモデルとしたお伽話のような舞台、それから登場人物たちの滑稽なネーミングや、間抜けた擬音などと、閉ざされた製糸工場の異常性が合わさってなんとも言えない世界を描き出している。余人には絶対にオススメできない作品。2012/09/26
みや
20
製糸工場へ奉公に出た12歳のお初が養蚕の真相を知る。おっさんに嗅診される身体検査や暴力と暴言が横行する製紙部といった地獄が垣間見えながらも、養蚕部で呑気に食べて寝て遊ぶ少女たち。そこから"狂い"の中心へ追い込まれていく濃厚な誘惑と強烈な忌避の鬩ぎ合いが快感だった。養蚕の真相は惨くて残酷で吐くほど気持ち悪くて大好き。途中で予想できるからこそ「こうなってほしくない」より「その様子を見たい」が自分の中で勝っていき、読む手が止まらなかった。名称や台詞に紛れる下ネタが妖艶な美しさからは程遠く、鬱陶しいのが残念。2025/08/20




