出版社内容情報
歴史に翻弄された男たちの数奇な運命!天保3年(1832年)、知多半島から出航した千石船宝順丸が、遠州灘で難破する。岩松、久吉、音吉の3人は、1年2ヶ月後、奇跡的に北アメリカに漂着する。彼らには想像を超えた運命が待っていた。
三浦 綾子[ミウラ アヤコ]
著・文・その他
内容説明
天保3(1832)年、熱田から、千石船宝順丸が14人の乗組員を乗せ江戸に向かって出航した。しかし遠州灘で激しい嵐に遭い、船は遭難してしまう。1年2か月後、乗組員の中で生き残った、豪胆な岩松、明朗快活な久吉、心優しい音吉の3人は、奇跡的に北アメリカに漂着した。彼らを待ち受けていたのは、想像を超える数奇な運命だった…。逆境の中、諦めることなく、希望を持って生き抜く男たちを描いた感動の時代巨編、第1巻。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922年、北海道旭川市生まれ。旭川市立高女卒。59年、三浦光世と結婚。64年、朝日新聞社の懸賞小説に『氷点』が入選、国民的ベストセラーとなる。人間の愛、原罪、祈りなどをテーマに、多数の著書を遺した。99年、77歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
93
実話をもとにしている物語なんですね。お米を運ぶ千石船の航海で激しい嵐にあった中で生き残った心優しい音吉、明るく前向きな久吉、頼れる岩松。遭難という壮絶さは不安や焦燥、恐れがあったことでしょう。奇跡的に助かったとはいえ、まだ苛酷な運命が待っていそうです。この先どうなるのか。続きも読みます。2016/02/17
ソーダポップ
43
天保3年(1832)知多半島の熱田から、千石船の宝順丸が14人の乗組員を乗せて江戸に向かって出港した。しかし遠州灘で嵐に遭い遭難してしまう。1年2ヶ月もの間漂流して11人もの乗組員が壊血症で死亡する。そして1833年末から34年初頭北アメリカのフラッタリー岬に生き残った音吉、久吉、岩松3人が奇跡的に漂着した。その頃故国日本では、天保の大飢饉が始まっており、この大飢饉が音吉たち自身の運命を大きく狂わしていく。運命に翻弄されながらも希望を持って生き抜いていく男たちの姿を描いる。2021/07/03
piro
38
鎖国の世の江戸時代、熱田を発ち江戸への荷を運ぶ千石船宝順丸が遠州灘で嵐のため遭難。14人の船乗りを乗せた船は潮流に弄ばれる様に外洋へと流されて行きます。想像を絶する過酷な漂流。ひたすら水平線しか見えない大海原。飲み水が限られ米以外の食糧が欠乏する中、ある者は病に倒れ、またある者は気が触れる。長い漂流に、読んでいるこちらも強い絶望感に襲われました。そんな中最年少の音吉の健気さがとにかく心に残る。頼り甲斐のある岩松、幼馴染の久吉らの存在に励まされながら、許嫁を想い、最後まで諦めない音吉の強さにただただ感服。2020/12/08
ちょん
31
これが実話をもとにした話とは。綺麗な心を持つ音吉、前向きで明るい久吉、頼りがいのある岩松。それぞれの心根がとても尊敬でき、人間というものはこうありたいと思わせてくれる。中巻が楽しみ。2015/05/24
まーみーよー
30
三浦綾子さんによる江戸期漂流物。主人公は音吉(乙吉)。吉村昭「アメリカ彦蔵」「海の祭礼」等にも出てくる人物である。天保三年十月に出港した宝順丸が嵐にあい、帆柱を失って漂流する。最初十四人だった乗組員は一年二ヶ月の漂流期間に次々と息絶えた。やっと島に上陸したときには音吉、久吉、岩松の三人になっていた。上巻はここまで。漂流する船内では岩松が冷静で希望を失わず、年少者の音吉、久吉は体力があったから生き延びたのだろうか。次巻が気になる。2020/09/13