出版社内容情報
仏教は民衆を救えるのか? 己の罪と向き合った聖徳太子の決断!
出生の秘密と血に汚れた己の罪を悔い、仏教の王土建設のため、大王推古に代わり摂政として政務に励む厩戸。内には大臣馬子との関係、外には外交問題を抱え、理想と現実の狭間で懊悩する。古代史ロマン小説!
内容説明
仏教こそが民を救い、律令国家への道を開く、と信じる摂政・厩戸皇子は、国難に直面する。隋の煬帝が厩戸の国書に激怒したのだ。仏教を信じる者同士がなぜ分かり合えないのか?日本を戦火から守るため、厩戸は奇策を用いるが、大臣・蘇我馬子ら豪族勢は不穏な動きを見せる。妃・刀自古郎女との関係も冷え切り、理想と現実の狭間で公私とも孤立を深める厩戸。出生の秘密と血塗られた過去を胸に、ついに下した決断とは―。
著者等紹介
篠崎紘一[シノザキコウイチ]
1942年、新潟県生まれ。早稲田大学文学部卒業。IT関連企業の社長を務める傍ら小説家を志し、2000年、『日輪の神女』で第1回古代ロマン文学大賞を受賞しデビュー。以後、現代的な解釈で古代史を読み解く古代ロマン小説に取り組む。長岡市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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財布にジャック
54
聖徳太子って歴史上の物凄い有名な人物なのに、そのあたりの歴史小説や資料などを読んだことがない為、まったく知識がなかったので、どんな人物なのか楽しみでした。しかし、殺人、自殺、近親相姦と、意外にもドロドロした内容にかなり度肝を抜かれました。この小説の中の聖徳太子像が、悪者なのか聖者なのか、どっちつかずなので、最後まで読んでも、どんな人物なのかがつかみ難かったです。2013/03/11
ruruti
4
興味深い話ではあったが、前巻に比べると面白味はトーンダウンしたように思える。厩戸皇子を馬屋つながりでキリストにたとえ、日本の仏教におけるキリストの様な存在としている。ちょっと無理があるような気がするが、目のつけ方が面白いと思った。自分がいかに仏教のことを知らなかったがよくわかり勉強になった。2014/04/09
ヒトコ
2
悪行の聖者として生きた厩戸皇子。後世に聖徳太子と呼ばれる様な、死してなお理想の国家に貢献したい志を持った人として描かれている。阿修羅というタイトルが付けられているが、この続編では自らの悪行を人間の業として仏の救済対象と認めてしまい、ある意味開き直ったようで、前編の方がよほど阿修羅だったように思う。2014/11/15
rei
2
どうも最後まで主役の厩戸に肩入れできなかった。阿修羅のタイトルを冠したことで著者が「聖徳太子」をどう描きたかったか、想像はできるが・・・。自らの悪行に狂おしいまでに悩むでもなし、理想の為に非情なまでに覚悟するでもなし。小物であるなら徹底して小物として描かれるならそれはそれで面白かったのだろうが。古代を描く人は少ないから期待してただけに残念。2012/09/30
ykkmuc
1
聖徳太子のことを何も知らなかったので、いろいろ「へー!」と思ったら創作みたいだった。でもこの時代の人々にとって仏教とはどういう物だったのだろうか。興味は湧いた。2012/10/29