出版社内容情報
生きるとは何か。幼少期を描いた自伝的小説!
1922年旭川で生まれた私。不安の中にあった幼年期を経て小学校へ。親しい人の死や同居していた叔母の結婚などさまざまな経験をし、生きることの意味をおぼろげながら感じ始めるーー。
内容説明
1922年、北海道・旭川で生まれた私は、両親や兄弟姉妹の愛情に包まれながらも、体が弱かったせいか人一倍臆病な子供で、無気味さと淋しさ、不安や恐怖の入りまじった中にあったような気がする。しかし小学校にあがり、級友たちとのふれあいや人の死など様々なことを経験し、「生きる」とはどういうことかをおぼろげに感じ始める―。愛と信仰と文学に生きた作家、三浦綾子の原点が鮮やかに描かれた、長編自伝小説。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922年、北海道旭川市生まれ。旭川市立高女卒。59年、三浦光世と結婚。64年、朝日新聞社の懸賞小説に『氷点』が入選、国民的ベストセラーとなる。人間の愛、原罪、祈りなどをテーマに、多数の著書を遺した。99年、77歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
101
三浦綾子さんの原点といえると思います。影響を受けたこと、感動したこと、思ったことなどが丁寧に紡がれていて子供時代の三浦綾子さんを知ることができました。『道ありき』3部作を読み、信仰に生きるようになったあり方を見て、子供時代はどのような少女だったのか興味を持っていたので、この本に触れられて良かったです。子供の頃から「生きる」ことをぼんやりと意識し始めたことが後の愛と信仰と文学に生きる姿につながったのだと思いました。2016/09/13
優希
55
三浦綾子さんの原点を見たようでした。人一倍臆病な子が旧友との触れ合い、人の死を通じて「生きる」ことを考え始めたのですね。綾子さんの信仰は、ここから始まったように感じます。幼少期から綾子さんが愛と信仰に導かれることは、暗示されていたのだと思います。2021/07/01
ソーダポップ
42
1922年、北海道の旭川に生まれた、作家三浦綾子さんの自伝小説。冒頭に三、四歳で祖母と据え風呂に入っていたところから、日本が次第に軍国主義に傾ていく時代を背景に小学生六年生までを描いており、父、母、叔母、兄が三人姉と妹、弟三人の都合十二人家族の中で育ち、学校など友人達との体験が細かく描かれています。題名どうり、道端に生える草のようにどこにでもいる平凡な少女時代であった作家三浦綾子さんの原点が語られています。2021/08/09
kawa
36
三浦さんの生まれてから小学校卒業までの出来事、約40年後に振り返る自伝的読み物。まあァ、こんなによくも詳細に覚えているものだと感心なのだが、多分、プロが物を書くということは、こう言う営みの連続なのだろうなとも思う。本作の結びに「人格の形成には、よい環境が必要」と言う三浦さん。わが郷土の先達からは「人は環境の子」と教えられた。三浦さんはさらに「よい環境とは、響き合う魂が周囲にあること」と解題する。家族、師、友人そして私的に付け加えるなら良き書。それらに囲まれ成長していくことが何よりの幸せなのかも知れない。2021/06/15
Midori Nozawa
15
1986年初版発行で読みました。三浦綾子さんの幼児期から女学校に入学するまでこと。旭川を舞台に両親、兄3人姉2人(実は1人は叔母)弟3人妹1人、級友など、小学校1年から6年前の担任の渡辺先生のことなど。母方の祖母はひんぱんに来訪して出産の世話、子育てを手伝ってくれた。祖母は貧しかった。1922年生まれの綾子さんから見た、当時の学校の様子や昭和8年頃からの軍事色などが伝わる。当時の庶民がどうだったのか興味深い。綾子さんにキリスト教を伝えた前川正氏とは近隣だったこと。「デブシャン」と先生は綾子を呼んだ。2022/02/21